2019年10月22日火曜日

小玉祥子の劇評 2019年10月 歌舞伎座

一番の見ものは、昼の最後「お祭佐七」。鳶(とび)職の佐七(菊五郎)がだまされて恋人で芸者の小糸(時蔵)をあやめる。それだけの話なのだが、菊五郎の佐七が粋で魅力的だ。小糸とじゃれあう際の色気、小糸に言い寄る伴平(團蔵)相手に見せる俠気(きょうき)。小糸の書き置きをあんどんで見て真相を知る場面では、感情の変化を鮮やかに見せた。せりふの緩急が利いて形がいい。技術だけでは出せない味だ。(歌舞伎 芸術祭十月大歌舞伎 菊五郎、色気と俠気の粋=評・小玉祥子 - 毎日新聞)