2019年10月13日日曜日

長谷部浩の劇評 2019年10月 歌舞伎座夜の部

次ぎに、伝吉に歌六を得たこと。今回は序幕は出ないが、伝吉が庚申丸を盗み出すとき犬を殺したために因果応報の物語となる。黙阿弥の陰惨な因果噺には、江戸の闇と怪異を身にまとった人間が必要となる。歌六は、奔放自在に生き、他人の人生を踏みにじってきた悪党の凄みが漂って、おとせ(尾上右近)、十三(巳之助)の近親相姦を知っていて止めない胆力の強さがそなわっていた。先月の『松浦の太鼓』の松浦公の残映もあるのか。歌六が芯となる芝居をもっともっと観たいと思わせた。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)
歌六さん、時代物も世話物も両方好成績です。魅力ある役者さんです。