2019年11月11日月曜日

河村常雄の劇評 2019年11月 国立劇場

奈良・東大寺で怨敵・頼朝と対峙した景清は頼朝の度量を知り、復讐を断念するため自ら両眼をえぐり、盲目となる。現実では考えられない行為だが、吉右衛門の迫真の演技はこの行為を納得させる。 日向の国で物乞いとなった景清は、はるばる訪ねてきた娘・糸滝が身を売り金を工面したことを知り慟哭する。この嘆きは激しく、大きな見せ場を作った。 やがて源氏に対する憤怒から解き放たれた景清は船で鎌倉に向かうが、ここでは恕の境地を表した。見方を変えればノーサイド。後味のいい芝居になった。(河村常雄の新劇場見聞録)