2019年11月9日土曜日

河村常雄の劇評 2019年11月 歌舞伎座

最後は42年ぶりに再演される池波正太郎作品「市松小僧の女」。 剣術使いの商家の娘お千代は5歳下で市松小僧と呼ばれるスリの又吉と所帯を持つという人情恋愛劇だ。 時蔵が千代。ならず者を叩きのめす男勝りから小間物屋の恋女房へと巧みに変わる。仁にかなった適役をつかんだと思う。 鴈治郎が又吉で、所帯を持ち家業が順調でもスリを犯す弱さを好演。 芝翫がお千代の道場仲間の永井与五郎。お千代を支える大きさを見せる。 今月一番楽しめた舞台である。(河村常雄の新劇場見聞録)