2020年12月11日金曜日

矢内賢二の劇評 2020年12月 歌舞伎座・国立劇場

 歌舞伎座は第三部「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」がおもしろい。中村勘九郎の又平は持ち味の愛嬌(あいきょう)がよく生きて、哀れさはありながらも陰々滅々としないのがいい。市川猿之助のおとくにもこまやかな情愛があって、似合いの夫婦。

中村時蔵のお嬢吉三、中村芝翫(しかん)の和尚吉三、尾上松緑のお坊吉三という三人の取り合わせのバランスがよく、芝翫が丁寧な芝居で因果にからめ取られる小悪党を巧(うま)く描き出した。坂東亀蔵の堂守、坂東新悟のおとせ、中村萬太郎の十三郎も好演。(<評>愛嬌生きる勘九郎 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」ほか:東京新聞 TOKYO Web)