2021年1月14日木曜日

渡辺保の劇評 2021年1月 国立劇場

 三幕目は二条大宮の頼光の館とその寝所。この頼光館が今度の芝居で一番面 白い。頼光お預かりの内侍所の御鏡の詮議のために、一条院の使者として弁の 内侍が来る。困った平井保昌は弁の内侍が惚れている渡辺の綱を取り持ちに出 そうとするが、綱は行方不明。一計を案じた保昌は、綱にそっくりの鳶頭綱五 郎を連れて来て渡辺の綱にして接待に出す。喜ぶ弁の内侍。しかし顔は似てい ても鳶の者の綱五郎はしどろもどろ。そこへ羅生門河岸から花咲と茨木婆が乗 り込んで来る。ますますてんやわんやになる喜劇である。この二人妻の趣向が、 菊五郎の綱五郎を間に置いて、菊之助の花咲、右近の弁の内侍で面白い。ドタ バタとはいえあっさりした品のいい喜劇になっている。(2021年1月国立劇場)