2021年3月13日土曜日

渡辺保の劇評 2021年3月 歌舞伎座

 耳慣れた黙阿弥のせりふ―――「今朝の南が吹き代わり、西ならいで雪になったが」が空気の様に当たり前に聞こえて来るところに老練の円熟がある。蕎麦を肴に一杯やりながら丈賀の話を聞いていて、そっと外に出て丈賀を待ち伏せる具合。なんでもない様でいて、なかなかできない生世話の味である。(2021年3月歌舞伎座 – 渡辺保の歌舞伎劇評)

黙阿弥が大江戸への郷愁で書いた生世話物、雪の入谷へタイムスリップしたような舞台です。