2021年3月12日金曜日

飯塚友子の劇評 2021年3月 国立劇場

菊之助は、光秀を当たり役とする義父、吉右衛門に憧れ、この役に初挑戦した。パワハラ主君への戸惑いから悲嘆、そして怒りを募らせる感情の変化が鮮やかで、理不尽に翻弄される姿は息苦しくなるほど。辛抱立役だが、せりふや動きの随所に吉右衛門の指導が感じられる。また菊之助、彦三郎、萬太郎、春永寵臣・力丸役の中村鷹之資(たかのすけ)と主要な若手がいずれも声がよく、この陰々滅々とした芝居を爽やかに彩る。悲運の兄、光秀を支える桔梗(ききょう)役、坂東新悟の楚々として耐えるいじらしさも、印象に残った。(【鑑賞眼】国立劇場「時今也桔梗旗揚」 身に染みる光秀の悲哀(2/2ページ) - 産経ニュース)