2021年11月18日木曜日

渡辺保の劇評 2021年11月 歌舞伎座二部

 巳之助の五郎は、まず面長で、剥き身の隈取がしっくりはまって初役とは思えぬ円熟ぶりである。それに姿全体に丸味があるのがよく、踊りの名手だけあってカドカドのきまりの形がいい。真っ当にやっていて嫌味なく、余計な夾雑分もなくスッキリしている。まだ若く、しかも初役なのに、既にしてその姿に味わいがある。せりふに多少破調もあるが、まずはいい五郎、他の人にはない趣きがいい。(2021年11月歌舞伎座 第二部 – 渡辺保の歌舞伎劇評)