平成若衆歌舞伎第五弾「大坂男伊達流行」も無事千穐楽を迎えることができ、これもひとえに応援してくださる皆さんのお陰と、出演者一同感謝しています。本当にありがとうございました。(片岡 愛之助 --- 公式ウェブサイト)
「大坂男伊達流行」を終えての感謝、御礼、そしてこれからの抱負などが書かれています。
平成若衆歌舞伎第五弾「大坂男伊達流行」も無事千穐楽を迎えることができ、これもひとえに応援してくださる皆さんのお陰と、出演者一同感謝しています。本当にありがとうございました。(片岡 愛之助 --- 公式ウェブサイト)
「大坂男伊達流行」を終えての感謝、御礼、そしてこれからの抱負などが書かれています。
海老蔵は「歌舞伎は世界を相手にしなければと考えていました。ロンドンでは2年に1度ぐらいは公演して、歌舞伎が根付くような方向に持っていければと願ってます」。亀治郎も「W杯で盛り上がっている欧州を訪れることができ、うれしく思っています」と話している。(海老蔵、亀治郎が欧州歌舞伎公演 - 芸能ニュース : nikkansports.com)
世界遺産に登録された訳ですから、大いに外国で公演して頂きたいですね。ファンは2年に1度、外国旅行に行くことになりますね。團十郎さんも同行なさる由、うれしいことでしょう。
亀たよりによると、無事ロンドンに到着、ホテルからの写真がアップされています。
尾上菊五郎が、東京・東銀座の歌舞伎座での「六月大歌舞伎」(2~26日)で、「荒川の佐吉」と「身替座禅」に出演する。 初めて演じる「荒川の佐吉」の相模屋政五郎は、主役佐吉(片岡仁左衛門)が育てた子を実の親に返すよう説得するやくざの親分。かつて90歳を超えた島田正吾が演じたこともある、貫録あふれる役柄だ。 その際のビデオを見たという菊五郎は「貫目は必要だが、壮年の親分の血気盛んさも出したい。佐吉を威圧するのではなく、言葉で納得させなければならない難しい役ですね」と話す。(菊五郎、「荒川の佐吉」に出演 : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
仁左衛門との競演が昼夜一番づつ、益々好調の二人ですから大変楽しみです。
中村芝雀、2カ月連続で女形の大役
◇6月「国性爺合戦」の錦祥女、7月「彦山権現誓助剣」のお園
歌舞伎女形、中村芝雀が、東京・国立劇場の歌舞伎鑑賞教室で6、7月の2カ月続きで女形の大役を演じる。6月が「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」の錦祥女、7月が「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」のお園。(MSN-Mainichi INTERACTIVE 歌舞伎)
錦祥女もお園も雀右衛門のが定評あります。次代へと継承されるステップとなる公演になると思います。松緑も祖父の和藤内を意識して、お役に臨むことでしょう。
「第五回亀治郎の会」
国立小劇場 平成18年8月4日(金) 5日(土)昼の部午後1時、夜の部午後5時30分 6日(日)昼の部午後2時
出演「奥州安達原・環宮明御殿の場」安部貞任、貞任妻袖荻 亀治郎八幡太郎義家 愛之助安部宗任 亀鶴直方妻 浜夕 竹三郎平傔仗直方 段四郎
浄瑠璃 竹本葵太夫三味線 鶴澤慎治
「天下る傾城」傾城後に獅子の精 亀治郎稀音家祐介社中田中傳左衛門社中
ご観劇料(税込) 全席指定 1万円(舞台案内)
チラシがご覧になれます。表紙・中・裏と全て見ることができます。
「十七歳の時に初役で長吉を勤め、劇評で初めてほめられた、思い出深い狂言。家には両力士を演じた祖父の初代中村吉右衛門と七代目幸四郎、観劇に来た双葉山の三人一緒に撮った写真が残っています」(http://www.tokyo-np.co.jp/00/mei/20060527/ftu_____mei_____000.shtml)
二十年振りに演じる「暗闇の丑松」では新解釈の演出を加えるとか、’お米が可哀相・・・と思う気持ちが増すのでしょうか、興味深いです。
相撲の今の力士たちは、歌舞伎に角力とりを主役にした狂言があることすら、知らないのじゃないでしょうか。ご招待するとしたら横綱ですかね?
『舞台裏おもて』が発売されました。
『舞台裏おもて-歌舞伎・文楽・能・狂言-』発売定価:1,800円(税別)
父の雀右衛門や私も資料協力させていただきました。写真家岩田アキラ先生が見た舞台裏をご紹介しています。歌舞伎の世界だけではなく、文楽や能、狂言まで裏舞台の細部を紹介しています。是非、ご覧くださいませ。 【出版社】マール社【 記 】2006年05月23日 中村芝雀公式HP事務局(お知らせ | 中村芝雀 七世 Offical web site)
芝雀さんのHPに紹介されていました。まだ実物」みていませんが、おもしろそうです。本屋さんに行ったら見つけてきます。
「浅草の歴史と文化を後世に伝え、観光地として発展させたい」と官民でつくる観光まちづくり推進協議会などが「復活」を企画。中村座とゆかりのある勘三郎が、代表発起人の一人となった。(中村勘三郎らが決起集会…浅草に江戸芝居小屋を:芸能:スポーツ報知)
浅草で平成中村座を建てて、芝居をかけた時から、この構想はあったのではないでしょうか。確かに東京には「江戸芝居小屋」といえる劇場はありません。実現の暁には勘三郎歌舞伎のメインステージになるのでしょうね。
玉三郎は「歌舞伎座でこのような公演ができるのは大変うれしいことです。今までの経験を活かしながら新しいことも勉強し、みんなで精一杯いいものを作るよう努力いたします」と語り、すべての演目で監修または演出を手がけることについて「歌舞伎座という大きな舞台で演じることも考えて、できるだけ簡素な舞台にして作品の持つ純粋さや幻想的な世界観といったものを率直に表現したいと思います。(今回上演するのは)それぞれ別々の作品ですが、その中にある統一感が出せればと考えています」と基本的な考えを示しました。(俳優ニュース)
全部の演目が鏡花作品という画期的な企画です。玉三郎の深い考察が隅々まで行き届くことと思います。海老蔵とおもだか一門の若手との共演も新鮮です。昨年の「NINAGAWA十二夜」に続き、7月はチャレンジの月間でしょうか、今から楽しみです。
≪文政9年9月、江戸中村座の第二番目狂言「けいせい反魂香」の大切所作事として初演された変化もの。外題を「歌えすがえす余波大津絵」かえすがえすおなごりおおつえ、としたのは、二代関三十郎が、大阪上りの名残の意を含めてある。五変化(藤娘・座頭・天神・奴・船頭)の一つで四代杵屋六三郎の作曲。「けいせい反魂香」の吃又の浮世又平の狂言の趣向を借りて、又平の描いた大津絵が抜け出して踊り出すことに見立てられたもの。従って、大津絵の襖もしくは屏風絵が抜け出す趣向が、本来の型であるが、六代目尾上菊五郎が、昭和12年3月に初演して以来、小村雪岱.と相談して藤の花の精という心で、舞台も、中央の松の古木に、大輪の藤の花が一面に下がった背景を用いたのが、今日に流行している。≫名作歌舞伎全集第十九巻 解説郡司正勝
この説明を読むと今月のように、ども又の後に「藤娘」は格好の取り合わせなのですが、本来の大津絵から抜け出す趣向ではなく、六代目の趣向になっています。舞踊会でもみんなこちらで踊っています。過去二、三回ほど大津絵の屏風のをみたことがあります。
舞台いっぱいに下がった藤の花房をバックに、暗転からいっきに明るくなって、藤の精が現れる演出の素晴らしさには感心致します。
「藤娘」といえば、梅幸を想い出します。明るくておおらかで、可愛い舞姿は忘れられません。歌舞伎座2階に梅幸の「藤娘」の絵があります。そして林嘉吉さんが撮った写真は切手になりました。
唄いだしが、伊十郎のレコードなんかと違っています。参考までに書き出しておきます。
暗転の中から聞こえてきます。「春いつか、暮れて行方は白浪の、立つ風もなきにおの浦、昔ながらに咲く花の、時に近江の松の藤浪」ここで照明が点いて「人目せき笠、塗り笠しゃんと~」と踊ります。
藤娘の歌詞
若紫に十返りの~の箇所が上記のように変えてあります。
こちらには「潮来出島」の歌詞ものっています。いつか俳優祭の折りに「あやめ浴衣」がでた時に、この潮来が入っていました。
須磨琴・・・在原行平公が須磨に流された時、慰みに浜に流れ着いた板きれに自分の烏帽子の紐の糸を張り、草の茎を指にはめて奏でたのが今日まで伝わり、現在は兵庫県重要無形文化財に指定されています。
須磨琴と笛、舞のコラボの会です。
「須磨琴と語ろう」一、須磨琴と笛の語らい(須磨琴保存会会員:受田純子・平田直子・ 飯塚美知子)(笛:望月太喜若)
二、須磨琴のおしゃべり
三、須磨琴と笛と舞の語らい(舞:花柳佐郁)
時:2006年6月24日(土)18:00~
於:日暮里 本行寺(日暮里駅北口前、03-3821-4458)
入場料:2500円
お問い合わせ:趣香房090-8855-3503
江戸を知ることは、現代人にとって有意義なことであり、そこには現代に生かせるヒントもいっぱいあります。そのような江戸を知るきっかけとして、またより深く知るために「江戸文化歴史検定」がスタートします。この検定は、江戸の歴史や文化に関する広範で高度な知識をチェックするものです。1級~3級までありますが、2006年の秋に、まず3級と2級の検定がスタートし、2007年には1級の検定を行う予定です。また、2006年春には、小学館より公式テキストが発刊されます。(江戸文化歴史検定とは|江戸文化歴史検定)
先程ニュースでみましたが「江戸文化歴史検定」の試験が秋に実施されるとのことです。当ブログにお越しの方は、概ね江戸好きですから興味あると思います。沢山の人が自国の文化を知って、文化、文化財を大事にして下さると有難いですね。
7月邦楽公演「増補 江戸三味線音楽の歴史 ‐明治期‐」(公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|7月邦楽公演「増補 江戸三味線音楽の歴史 ‐明治期‐」)
明治に作曲された人気曲ばかりです。長唄の会、清元の会・・・ですと一分野しか分かりませんが、この会のようにいろんな曲が聴けて、それぞれの違いもわかりお薦めです。演奏家も粒揃いで聴き応えあります。芝居もない、踊りもない、素の演奏も良いものです。
さて、夏の勉強会の本チラシがついに完成しました! 柔らかな色彩の、素敵なデザインです。いずれチラシは国立劇場内の各所に置かれることになりますし、同じデザインのポスター(サイズが大きくなる)は、駅構内をはじめ、出演者が行きつけている飲み屋などにも飾られることでございましょう。改めてPRさせて頂きますけれど、いつにもまして若手が活躍する場が与えられた配役、新歌舞伎・舞踊・義太夫世話物という、オーソドックスながら大変わかりやすく見所の多い狂言立ては、いかにも勉強会といった趣きの、正攻法のプログラムです。また、舞踊の三演目は、振付でいらっしゃる藤間勘祖師のご意向で、上中下の<三段返し>の形式となり、各曲ごとの舞台転換に工夫がこらされるそうでございます。(梅之芝居日記)
勉強会のチラシが出来上がったそうです。盛り沢山の演目、熱心にお稽古した彼等の舞台を観に参りましょう。
当月勤めております八百屋お七ゆかりのお地蔵様が宅の近所にございます。大田区大森北の『密厳院(みつごいん)』で、『お七地蔵』として祀られております。(今月のお役)
その昔お七の吉祥寺を訪ねて行ったことがあります。場所が分からなくて人に聞きましたが皆知らないとの答え、はてな?諦めて戻りましてよく調べたら、私が行った所は井の頭線の吉祥寺だったんです。とんだ間違い!そそっかしいのは若い頃から変わっていません。
葵太夫さんのブログを頼りに行けば、迷うことなく行かれます。お七っぁん巡礼に行かれる方は是非参考になさってください。
黙阿弥作の「魚屋宗五郎」。妹の死の真相をおなぎ(杏佳)から聞いた宗五郎(梅之助)は、全員がうつむいて嘆く中、一人すっくと顔を上げる。その時の何とも白々としたような梅之助の表情が印象的だ。妹の死を納得しようとしていた男の分別が崩れる瞬間が鮮明になる。日常が想像できるような宗五郎である。菊之丞のおはまがいい世話女房ぶり。竜之介の太兵衛が手堅い。現在主流の六代目(尾上)菊五郎型の宗五郎とは、異なる点の多いところもおもしろい。(MSN-Mainichi INTERACTIVE 歌舞伎)
小玉祥子さんの前進座公演の劇評です。見慣れた歌舞伎と違った切り口で面白いとのことです。
演目
奥州安達原 環宮明御殿の場
安倍貞任・貞任妻 亀治郎
八幡太郎義家 愛之助
安倍宗任 亀鶴
直方妻 浜夕 竹三郎
直方 段四郎
浄瑠璃 竹本葵太夫
三味線 鶴澤愼治
天下る傾城(藤間勘吉郎振付)
傾城 後に獅子の精 亀治郎
稀音家祐介社中
田中傳左衛門社中
国立劇場(小) 平成18年 8/4・ 8/5 午後1:00・5:30
8/6 午後2:00
観劇料 10,000円
前売り開始 6/5午前10:00~
予約 亀治郎の会03-3724-5083
国立劇場チケット売り場03-3265-7411
パンフレットが置いてありました。表紙は真っ白のところに袖萩の顔ー閉じた目と口、やや斜めの角度、目の朱と紅のみ赤く目立つー実に斬新なデザイン。この表紙を観音開きすると、貞任の写真。
長唄の舞踊はどんなのでしょうか。傾城から獅子?枕獅子、英執着獅子等に似ているのでしょうか。誰々作曲とは書いていないので分かりませんね。
このほど三越劇場で行われた制作発表で、獅童は「油地獄は現代に通じるストーリー。(片岡)仁左衛門のお兄さんにご指導いただき、上方のにおいのする芝居に」と言い、「私にとって歌舞伎がすべて。ずっと見続けていただける役者になりたい。そんなみなさんと一緒に一つ一つ年を取っていけたら」と、熱い心を語った。 「獅童さんとも八カ月ぶりの共演。親しい皆さんと楽しい楽屋になりそう」と段治郎。 出席した全員がダークスーツの中で、一人だけ真っ白な服装だった猿弥。「司会者みたいで気まずい。本日の反省点」と笑わせながらも、初めての三越歌舞伎に意欲を見せた。(http://www.tokyo-np.co.jp/00/mei/20060520/ftu_____mei_____001.shtml)
若さあふれる熱い舞台になりそうです。
10月・第一部(江戸城の刃傷・第二の使者・最後の大評定)大石内蔵助を勤める中村吉右衛門
「開場40周年という記念すべき公演にトップバッターで出演できて光栄です。大リーグのイチロー選手のようにヒットが出せるよう精一杯勤めたい。人生模様が散りばめられ、人間的な深みが感じられる作品で、今これに取り組むことで、真山青果の時代が歌舞伎に何を求めていたのかを考えてみたいと思います。今回の通し公演は、父(松本白鸚=八代目松本幸四郎)が一番喜んでくれるのではないでしょうか。」
11月・第二部(伏見撞木町・御浜御殿綱豊卿・南部坂雪の別れ)大石内蔵助を勤める坂田藤十郎
「上方歌舞伎の私に声がかかり大変驚きましたが、昨秋襲名のときに「生まれ変わって頑張りたい」と申し上げたとおり、全身全霊をかけて大石内蔵助を勤めたいと思います。私は今から50年前に、三代目市川寿海さんの内蔵助で、おみのを勤めました。その折に寿海さんから、「初演のときは歌舞伎の姿を失わずに演じた」と伺いました。本心を表に出さず、先への展開を深く腹におさめて、じっと世間を見つめる内蔵助の大きさが出せれば、と思います。」
12月・第三部(吉良屋敷裏門・泉岳寺・仙石屋敷・大石最後の一日)大石内蔵助を勤める松本幸四郎
「昭和の傑作と言われるこの作品を演じるのは、昭和生まれの役者としての務めです。内蔵助をいわゆる大人物としてでなく、人を思う心を持ったひとりの人間として表現したいと思います。『大石最後の一日』は、10編の中で最初に上演された、「元禄忠臣蔵」の出発点となる舞台で、重要な場面です。かつて父(白鸚)の舞台を見たお客様が「内蔵助はこういう人だったのかもしれない」とおっしゃったことがありましたが、これは最高のほめ言葉。そういう内蔵助に一歩でも近づきたいです。」(国立劇場開場40周年記念 10・11・12月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵」制作発表記者会見)
大石内蔵助を演じるお三方のコメントです。意気込みを感じます。見ごたえある舞台になると期待します。
いよいよ、気がついたらあっという間に若衆歌舞伎が目前に迫ってまいりました。初の東京公演ということで、最初は随分力もはいってしまいましたが、お稽古が進むうちに自分のペースというのが取り戻せたような気がします。どこで芝居をしても同じように、お客様に楽しんでいただける舞台を勤めるのがまずは一番。その上で、関西の芝居ってなんか面白いなぁと思ってもらえたら最高だと思います。(片岡 愛之助 --- 公式ウェブサイト)
上方歌舞伎の味を残したいという藤十郎、仁左衛門の思いを着実に形にしてくれる頼もしい公演です。
前進座の国立劇場公演の『謎帯一寸徳兵衛』がなかなかいい。この公演が劇団創立75周年だそうだが(狂言半ばに幕前で梅之助のやった「口上」もなかなかよかった。75年の歩みを極端な自画自賛も手前味噌もなくしっかり振り返り、真情がこもっていた)、創立直後の昭和六年と九年にやったきり、72年ぶりというのも不思議なようだが、それだけに、嵐圭史だけがいわゆる第二世代だが、あとは若いメンバーが中心で蘇らせたのが一層新鮮味があり、意義深かった。(演劇評論家 上村以和於オフィシャルサイト)
上村氏は『謎帯一寸徳兵衛』をほめています。75年の年月の重みを感じます。
もっともうまいのは「人は知らず宗五郎が」からの長ぜりふである。ここも菊五郎型とは違うが「実に妹のおかげにて」や「うかび上がった親兄弟」のあたりは、渋く押さえて、引き締まった芸で聞かせる。 今度の宗五郎は抑えるところは十二分におさえて、枯れた芸になっている。ことにいよいよ暴れだしてから「矢でも鉄砲でももって来い」を口の中でいうところがうまい。若い人に真似られると困るが、独特である。この狂気の凄まじさ、大きく笑う明るさ、しかも暴力的で、正体のない他愛のなさが、この人の特色である。(2006年5月国立劇場)
魚屋宗五郎が大変良いとのことです。「枯れた芸」という言葉がぴったりです。
歌舞伎座昼の部『江戸の夕映』で舟宿網徳の娘お蝶というのをやっている尾上右近を、今月の一押しに挙げることにしたい。(上村以和於の随談)
尾上右近は将来良い役者になると太鼓判、舞台の上で臆せず堂々と演じています。踊りも上手いし、楽しみです。
国立劇場 伝統芸能講座
田中 英機「沖縄の忠臣蔵-組踊のなかの勘平-」
・日時:7月29日(土) 午後2時より (午後4時頃終了予定)
・場所:伝統芸能情報館 3階レクチャー室 (国立劇場裏)
お話の前に、国立劇場おきなわ開場記念公演記録映像 「開場記念公演 伊江島の民俗芸能 組踊『忠臣蔵』(平成16年2月)」を上映いたします。(約40分)(国立劇場 伝統芸能講座 田中 英機「沖縄の忠臣蔵-組踊のなかの勘平-」|日本芸術文化振興会)
沖縄の組踊「忠臣蔵」どんなものなのか想像つきません。この機会に観にいきたいです。
●大阪で坂田藤十郎襲名披露お練り
7月大阪松竹座「坂田藤十郎襲名披露 七月大歌舞伎」(2日~26日)に先立ち、5月17日(水)に同公演昼の部で上演される襲名披露狂言『夏祭浪花鑑』にゆかりの高津宮で「お練り」が行われます。
『夏祭浪花鑑』の「釣船三婦内の場」「長町裏の場」は高津宮夏祭の宵宮の日(現在でも毎年7月17日に行われている)で、三婦の家も高津宮近くにあるという設定になっています。大阪の夏の風物詩として有名な「だんじり囃子」が背景に流れ、舞台の臨場感を出しています。(俳優ニュース)
お練り2ヶ月前とは早いですね。17日を選んで行う意図は分かります。「だんじり囃子」の実演はあるのでしょうか?
5月14日、日本橋社会教育会館で三津五郎さんのトークがあるというので行ってきました。進行役は伝統文化放送代表取締役社長の金田栄一さんでした。三年前まで歌舞伎座の支配人をなさっていた方で、現在「演劇界」に伝統文化放送の宣伝を兼ねて、コラムを書いていらっしゃるそうです。三津五郎さんは、歌舞伎座の舞台を終えて駆けつけて下さり、7時頃から対談形式で始まりました。
内容については「つづき」に書きます。
先ず、速報です。
★8月の新作舞踊は昔話にある「たのきゅう」を舞踊劇にするそうです。これは楽しみです。きっと面白い舞踊劇に仕上がると思います。
もう一つ、亡き坂東吉弥さんのお孫さんが小吉の名でお目見え、常磐津「駕屋」の駕篭かきに絡む犬を踊るそうです。吉弥さんからよろしく頼むと遺言されたので責任あるとおっしゃっていました。
★次回のお知らせ
6月24日(土)18:30~ 於:日本橋社会教育会館
「成駒屋の女形の重み」中村福助
話題になったことを簡単に書いてみます。
○出番の合間が空いた時の過ごしかたについて
気分転換で外に出られる人、楽屋にずっといる人のタイプに分かれます。時間つぶすのに苦労はします。名古屋での失敗談を楽しく話していました。
○手拍子について
團十郎の代役で弁慶をやった時花道引っ込みで手拍子になりましたが、実際どんな気持でしたか。
お客様の気持ちはうれしく思いますが、うれしさ半分、どんなもんかなーと思う半分、弁慶の引っ込みにはしてほしくないですね。印象軽くなる、喜劇的な時には良いと思います。むやみやたらに手拍子というのはどうですかね。
○歌舞伎から離れていると
おしろいがのるかどうか不安に思う、それと舞台に出続けることで身についているものがなくなっていないか、歌舞伎を毎月やっていて身体に着くもの、技術でもない、舞台に立っただけで感じるオーラみたいなものが遠ざかっていると無くなっているのではないかと不安になります。
映画では毎日の予定が不規則です。舞台が有るときは、オンオフのサイクルがあってリズムがあるので、体調が良いようです。
休みの時にはあちこち行ったりできるという良さも感じる。25日間同じことをやる大変さもあります。大体1年に8~9ヶ月は歌舞伎出演、歌舞伎座は平成2年から毎月歌舞伎になったので、以前はお休みだった8月も奮闘公演。勘太郎兄弟息子達は夏休み全く経験したことがないですね。
○ども又の話
今月のを観たら幕切れ花道使わないようですがめずらしいのでは、という質問に、いや舞台で終わるのがスタンダードです、松緑おじさんの教えで、古い役者さんが又平を喜劇的に演じていたのを六代目が原作に戻し、抜けた者ではない人間ドラマにした。ですから舞台で終わるのが本筋です。(私が今まで疑問に思っていたことが分かりました。喜劇的な描写を六代目がリメイクしたと思っていました。反対で六代目が原作に戻したんです)
○お客様の反応が変わってきている
笑う所がかわっている、長屋の生活への共感がなくなっている。日常生活が昔とかわってきたので演じる側も観る側も知らないことが生じている訳です。
阿国と五平を去年やったときに、7年前はかなりひいていたお客さんが、今では電車男とかストーカーの話はむしろタイムリーで受けていた。意外でした。
時代物は基本的に人間模様が同じなので通じる、特に女性は解放されている、お姫様は大胆且つ積極的、江戸時代では実生活でかなえられないから、舞台で夢を叶えられたのでしょう。現代の女性は新派の耐える女には共感覚えなくても、歌舞伎の娘には共感できるのです。
○大河ドラマ、光秀について
秘めたる思い色っぽいというのが従来の光秀と違っている。信長、秀吉と3人色が変わるようにしています。
○映画「武士の一分」について
山田洋次監督、きむたく、だんれい共演。
監督はこだわる方、大井川の河原、決闘シーンのロケではひたすら風を待つ、3日待っていよいよの時は、ようい用意と突然撮影に入る。
○踊り、丸本物、世話物、女形と演じていらっしゃいますが、これから何に力を入れるのか、オールマイティをめざすのか?
むしろめざさないもの、鳴神 獅子を飼う などを演じた時にステップアップする、点をとろうと思わないのが良いのかとおもいますね。 頂いたお役は断りません。どちらかというと 恋愛ものは苦手で、男と男のドラマ熊谷、弁慶のようなもののほうが好きです。
○伝承の手段としての映像について
映像は観られなかったものが観られる、保存の意味では良いと思いますが、 マイナスの面もありますね。後で観ればよいというので真剣みがなくなる。
「関の扉」など踊ると、役者も常磐津も人から人へ繋いできて今自分の演じている芸があると思うとスゴイ事だと思う。
精神伝えることはできる。ダメなものは淘汰されていく。
時代物は残るが、世話物は危機を感じる。そもそも日常の生活を舞台で再現してくれるのが面白い訳ですが、今は お客様も役者もしらない。家に火鉢はないし、鉄瓶もない、 江戸のあこがれがなくなってしまうと世話物をみたい気が薄れる。風情を残すには調べたり聞いたりして努力する必要がある。
思い出して書いてみましたが、おおよその感じがお分かり頂けましたでしょうか、大変楽しい一時でした。
そして一階ロビーの祭壇、気づかれましたか?花が大好きだった父のためにと、3日ごとくらいに染井吉野,八重桜,鉄泉,菊桃,藤,芍薬,乙女百合、そして最後にもう一度芍薬と活け変えてくださり、歌舞伎座スタッフの心使いがうれしく、父の喜ぶ顔が見えるようでした。(baigyoku.com ひとりごと)
先月の追善公演のお話と今月のお役のお話などを書いて居られます。
入口入ってすぐの祭壇には目の前にいって黙祷しましたが、お花が次々に変わってお供えしたのは気づきませんでした。口上の襖絵のさくらもステキでした。お花に囲まれてニコニコしている歌右衛門の顔が目に浮かびます。
2006年春の叙勲受章者が4月29日付で発表され、歌舞伎の関係者では長唄唄方の鳥羽屋里長(本名・川原寿夫)さんが旭日小綬章を受章しました。
今月の演舞場で「娘道成寺」のタテを歌って居られます。健康に気を付けてこれからもご活躍下さい。ご受賞おめでとうございます。
蛍狩りで出会った宮城阿曽次郎に一目ぼれし、目を泣きつぶしても男を追い続ける娘の姿を描いた物語。「襲名の時から何度も何度もやって来たが、大夫さん次第で、その度ごとに違う深雪になる。今回の豊竹嶋大夫さんは情熱的な語りをしてくれるので遣いやすいし、楽しみ」と話す。(簑助、ひさびさ深雪役…国立小劇場5月公演 : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
メトロカードも今回は深雪、情熱的な愛を豊竹嶋大夫さんの語りで簑助さんが遣う。楽しみです。
人形浄瑠璃・文楽の人形遣いで人間国宝の吉田簑助さん(72)が6月、パリ公演を行うことが決まった。(パリっ子に復帰の芸…吉田簑助さんが6月公演 : ニュース : 文楽への招待 : 文化 伝統 : 人遊食 : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
パリにある劇場「シテ・ドゥ・ラ・ミュージック」が企画する「日本の音と芝居」に招待された。6月9日~11日に披露する演目は、夫婦愛を描いた「壺坂観音霊験記」と、ひたむきな娘心を描く「伊達娘恋緋鹿子(こいのひがのこ)・火の見櫓(やぐら)の段」。
パリの観客にも大きな感動を与えることと思います。
歌舞伎俳優、市川染五郎(33)が、来年1月に東京・新橋演舞場、2月に大阪松竹座で上演する劇団☆新感線とのコラボレーション舞台第5弾「朧〈おぼろ〉の森に棲む鬼」で、歌舞伎以外では初めて悪役に本格挑戦することが10日、分かった。(SANSPO.COM > 芸能)
来年のお正月演舞場で、染五郎が悪役に挑む。
最後が「黒手組助六」。黙阿弥描く世話物の助六。菊五郎がこっけいな権九郎とさっそうとした助六の二役にめりはりをつける。カモの着ぐるみに入る遊び心が楽しい。大詰めには菊五郎劇団らしいスピーディーな立ち回りを付けた。左團次の新左衛門が本役。菊之助の白玉、海老蔵の伝次が好一対で、橘太郎が好演。雀右衛門の揚巻が貫禄を見せる。25日まで。【小玉祥子】(MSN-Mainichi INTERACTIVE 歌舞伎)
ベテランと若手、大詰めの立ち回りとバランス良いお芝居でいかにも爽やかな舞台です。
海老蔵の牛若伝次の役は、この後に書いた三千歳・直次郎の原型のような役という説明を読むと、はまり役。そして近い将来海老蔵の直次郎が観たいです。
3年ぶりの團菊祭を粋に明るくという菊五郎の芝居心が随所に込められ、一座のチームワークがこれを支える。(私の初日観劇記|團菊祭五月大歌舞伎|歌舞伎座|歌舞伎・演劇|松竹)
成田屋の復帰お祝いの思いが客席にも、舞台にもあふれている今月歌舞伎座です。とりわけ音羽屋は「外郎売」の口上ばかりではなく、花道の引っ込みに「やっとことっちゃうんとこな!」と入れたり、盛り上げています。
「井戸替え」とは、井戸の大掃除をすることです。井戸の水をすっかり汲み上げて、中に人が入って泥やゴミをすくい、またみんなで綱を引いてそれをひっぱりあげます。 江戸の長屋では、この芝居通りの風景がみられたようです。 この「井戸替え」は、年に一度7月7日の七夕の日に行なわれることが多かったそうです。『権三と助十』でも、一幕目の井戸替えの場では七夕飾り(笹竹や祭壇)があります。二幕目は場所は同じ長屋ですが、日にちが経っているので七夕飾りはありません。(三津五郎の部屋)
日本人の風習は昨今では消えていってしまったものが多いですが、芝居の中で生きています。こういう風習、風物が観られるのも楽しみです。初鰹の季節になると、「髪結新三」を思いだし、食卓に鰹のおさしみが上ります。
10月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第一部〉」(公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|10月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第一部〉」)
11月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第二部〉」(公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|11月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第二部〉」)
12月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第三部〉」(公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|12月歌舞伎公演「元禄忠臣蔵〈第三部〉」)
3ヶ月通しで観ることに意義がある、という企画ですね。
市川左団次 25歳年下女性と再婚 人気歌舞伎俳優の市川左団次(65)が結婚したことが6日、分かった。お相手は、25歳年下の一般の女性。すでに歌舞伎関係者には紹介済みで、近く友人、身内だけのお祝いの会を予定している。 (スポニチ Sponichi Annex ニュース 芸能)
「大家さんが若いご婦人と再婚なさったそうだよ。」「オヤ、そりゃおめでたいねぇ、長屋中でお祝いしなくちゃねぇ。」「楽にきっと権三さんから何かありそうだね。」「わっちらもうれしいじゃないか、早くお顔が拝みたいねぇ。」
役者が天職だと言い切る亀治郎。市川海老蔵ら同世代の俳優と将来の歌舞伎について熱く議論することも多いという。「他の演劇を見ても全部歌舞伎が元にある。新劇もミュージカルも。言葉のリズムや日本人の持つ間はすべて歌舞伎。何でものみ込めてしまう偉大でおおらかなところが歌舞伎にはある。これから? 自分がやりたいと思ったことをやる。『オペラ座の怪人』を歌舞伎でやったらもっと面白いものが作れる。あとは歌舞伎役者を使わない歌舞伎を作ってみたい」 新時代の歌舞伎の担い手として亀治郎には大きな夢がある。(市川亀治郎、来年大河「風林火山」で信玄役に大抜てき…インタビュー:芸能:スポーツ報知)
夢多き若獅子、歌舞伎の将来に何でも取り込む頼もしい人です。大河ドラマも面白くしてくれそうですね。
写真は幕切れ近く、工藤が十郎五郎に投げ与える<狩り場の絵図面>です。工藤が持っているので、工藤役の(音羽屋)さんの小道具とお思いになるかもしれませんが、実は師匠預かりの小道具なんです。というのも、投げた拍子に包みがほどけてはいけませんから、ひと針縫って留めておかなくてはならないのですが、そうなりますと、包みを開ける人、つまり十郎役の師匠の手勝手にあわせてセッティングする必要があるわけなのです。今月は弟弟子の仕事なので、袱紗をどういう風に包むか、どこをどう留めるか、全て師匠のやりよいようにいたしております。なお絵図面は袱紗に貼付けて、固定させております。(梅之芝居日記)
「外郎売」あれこれ、と題して今回の十郎の出るいきさつなど、詳しく書かれています。成る程お馴染みの面々が揃うと豪華ですし、舞台がいっそう華やかになります。
小道具のお話も面白いですね。菊五郎さんのと思っていたら、梅玉さんのなのですね。ヘエーー!
東京・国立小劇場の五月文楽公演(12~28日)で、切語り・豊竹嶋大夫が「生写朝顔話・宿屋の段」(二部、午後4時)を東京で初めて語る。時代物の豪快な語りで人気があった師匠・豊竹若大夫が好んでよく語った思い出の名曲。 大内家のお家騒動を背景に、宮城阿曽次郎(後に駒沢次郎左衛門)と深雪(後に朝顔)の恋物語がテーマ。嶋大夫は「深雪が阿曽次郎を見初めてから、すれ違いを繰り返し苦境の中にも恋人を追い求める『君の名は』にも通じる話。中でも『宿屋の段』は深雪の苦境が凝縮された哀れの極致といえる」と話す。 師匠だけでなく自分も昔から大好きで、「わかりやすい筋だからお客さまにもきっと楽しんでもらえる。『冬のソナタ』にも負けない純愛ドラマ」というわけだ。人形は阿曽次郎を吉田玉女、深雪を吉田簑助が遣う。大阪ではすでに二回の経験があるという。 「太夫の仕事は語りに徹すること」と、時代世話とも定評のある嶋大夫。「状況や人物の情愛を立体的に語り尽くさなければならない。語りにはその人の人生経験がにじみ出る。だから人生そのものが勉強。いろいろな経験をして情が語れるようになる」(http://www.tokyo-np.co.jp/00/mei/20060506/ftu_____mei_____001.shtml)
時代世話とも定評のある嶋大夫さんの語りに、人形遣い阿曽次郎を吉田玉女、深雪を吉田簑助という期待の一番です。
夜の部第一の、いや今月第一の見ものは、三津五郎、時蔵の「吃又」。今日の「吃又」は富十郎、吉右衛門に続いて、この人の出世芸である。すでに花道の出に揚幕を振り返り、おとくは本舞台の師匠の家を遠く望んで途方にくれ、思わず二人の背中が当って、それぞれの思いが一つになるところからして、すでにいい又平、いいおとくであり、背丈のあったいいコンビであることを頷かせる。(2006年5月歌舞伎座)
渡辺保さんの歌舞伎座初日観劇の劇評です。三津五郎、時蔵の「吃又」が昼夜通して一番とのこと。
私はどの演目もそれなりに面白く、いろんなジャンルの作品がバランスよく組まれていたと思います。何といっても團十郎さん復帰のお目出度い気分が歌舞伎座中に満ちあふれていて、幸せです。
吉右衛門奮闘公演である。 昼の部の「夏祭」の団七の男伊達、夜の部の「石川五右衛門」の実悪、「紅長」の三枚目と吉右衛門という当代歌舞伎の立役者の魅力がよくわかる公演である。(2006年5月新橋演舞場)
渡辺保さんの劇評が出ました。吉右衛門の魅力満載の演舞場です。
「傾城反魂香」の又平、「保名」「藤娘」は六代目が新しい演出を考え定着したものです。特に「保名」は五世清元延寿太夫と復活し、背景や幕切の演出も斬新で評判になりました。六代目から梅幸、菊五郎そして菊之助と継承されてきました。私が初めて歌舞伎を観たのが梅幸の「保名」でした。小学校5年生の目にはあの色彩と梅幸の品の良い貴公子ぶりが強く印象に残りました。菊之助の「保名」を観ましたら、初めて観た梅幸の「保名」に重なり、私の中の「保名」のイメージにぴったりはまりました。細部の踊りについてはまだ未完成ながら、身体から発する雰囲気は合格といった感じです。
「藤娘」に「藤音頭」を挟むのも、長唄、鳴り物をハの字に向かい合わせにするのも六代目の演出です。今日では舞踊会でもこちらが主流で「潮来出島」で踊る人は稀になりました。暗転で一瞬にパアーと明るくなって藤の精がいるというのも効果的な演出です。フランス人もびっくりでしょう。海老蔵の女形は細身できれいですが、手が大きくて男の手だなと感じてしまいました。愛らしい娘になっていて、イヤミのない色気があって良かったのですがちょっと残念です。しかし女の踊りも勉強しなくてはという気持は大事です。臆せずどんどん挑戦して下さい。
「待ってました!」團十郎さんがお元気な顔で「外郎売」に出られました。揚幕から声が聞こえた瞬間胸がいっぱいになりました。会場の皆さんは暖かい拍手で迎え、同じ舞台に出て居られる役者さん方も全員うれしそうでした。この一幕は実に歌舞伎らしい舞台でおおらかで明るくて良かったです。まるで顔見世のような豪華なキャスト、途中口上めいたご挨拶があります。
一番うれしかったのは?海老蔵さんは父より自分のほうがうれしいと思う、と言っています。音羽屋はお客様がやはり一番うれしいでしょう、と言っています。しかしやっぱりご本人が一番うれしいのではと思いますね。かなり辛い治療を克服して退院できたのですから。これからもゆっくりで良いですから素晴らしい舞台を見せて頂きたいです。
団十郎が、家の芸である「外郎売」の曽我五郎役で花道に登場すると、客席から「待ってました」の掛け声。団十郎は舞台上から「度々ご心配をお掛けしました。病み上がりゆえ、お目まだるき(十分でない)ところもあると存じますが、おうようのご見物、お願い申し上げます」とあいさつした。 団十郎は出演後、記者団に「お客さまの温かい気持ちが皮膚に伝わり、幸せ者だなと実感しました」と、落ち着いた表情で語った。(復帰の団十郎に拍手:芸能:スポーツ報知)
観客全員が團十郎の登場に「待ってました!」と心から喜びの声を掛けたでしょう。團十郎もこれだけのお客様みんなの拍手喝采を受け、頑張って良かったと思ったことでしょう。
復帰して舞台を務める成田屋も幸せだし、又舞台の團十郎が観られる贔屓も幸せです。
おめでとう!3年ぶりの團菊祭、大入りまちがいなし。
監修も務める秀太郎は「役者は舞台に立たないと上達しないが、関西の若手にはなかなか機会がない。この公演で、初めは足が震えて舞台に立てなかった若手が驚くほど進歩した。しかし、ある程度成長した後の一歩がまた難しい。東京では一から真摯(しんし)な気持ちでぶつかりたい」と話す。
愛之助も「大阪では若い人だけの公演の場がなかったので、彼らとがっちり芝居ができることがうれしい。上方の役者の底力を見てもらいたい」と意気込む。(平成若衆歌舞伎が初の東京公演 : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
東京でも人気の愛之助さん、上方若手歌舞伎の魅力をみせてくれることでしょう。
ウエストサイド物語のような作品と聞くと分かり易いですね。
ところで、今月の演舞場歌舞伎公演は、吉右衛門の兄さんを中心に、若い役者の皆さんと共に勉強の場にしたいということから実現したものです。演舞場としては、5 月に歌舞伎がかかるのは実に 23 年ぶりです。演目も、私がお辰をつとめさせていただく「夏祭浪花鑑」、吉右衛門兄さんの「石川五右衛門」、楽しいお芝居の「松竹梅湯島掛額」、また書き物あり、舞踊ありとバラエティーに富んでおり、歌舞伎初心者の方にも肩肘張らずに楽しんでいただける内容です。今後も、こうした主旨で毎年 5 月の演舞場をぜひ続けていかれたらと思っています。そんな思いもありまして、今回、芝雀さん、亀治郎君と 3 人で、夜の部終演後に<女形の夕べ>と題したトークショーを開催(5/6、5/12の 2 回)することにしました。こういう企画も同様に続けていきたいと思っています。(福助 気ままに語る)
演舞場で毎年5月に歌舞伎が観られる、というのが定着しそうですね。イベントも積極的に開催していくようですし、楽しみが増えます。
速報!「中村京蔵 創作の夕べ」の開催が決定致しました。10月27日(金) 青山銕仙会能舞台にて、中島敦原作「山月記」を舞台化致します。詳細は追ってお知らせ申し上げます。(中村京蔵公式ホームページ)
京蔵さん創作の「山月記」、能舞台で演じるようです。どんな舞台か詳細が待たれます。
五月は歌舞伎座にて團菊祭に出演させていただきます。「黒手組曲輪達引」。助六の登場人物を使って、河竹黙阿弥が世話物に仕上げたものです。パロディですね。私は揚巻をいたします。助六の揚巻ほど大きなお役ではありませんが、團菊祭にふさわしい華やかさと落ち着いたやさしさを表現いたしたいと思っております。
不思議に襲名は役者に力と華を与えることがおおございます。難しい時期の歌舞伎の大きな力になっていただきたいと思っております。 中村雀右衛門(中村雀右衛門公式ホームページ)
京屋さんが揚巻で華をそえて下さいます。出てきただけで雰囲気が伝わってきます。かなり重たい衣裳で大変だと思いますが、体調崩さぬようお気をつけて頂きたいです。
襲名するということは、やはり役者が大きくなりますね。暴走しないようにしっかり見守って頂きたいですね。
お知らせ(4月30日現在)興行情報を掲載しました。
泉鏡花/作 坂東玉三郎/監修(七月興行情報)
歌舞伎座HPに発表されました。
鏡花月間とでもいいましょうか。去年はシェイクスピアで全く新しい試みでした。
7月は普段と違った演目でいく、という企画なのですね。反響がどうなのか興味津々です。
平成18年5月
◆「外郎売」 小林朝比奈以外なことに「外郎売」に出演するのは初めてです。敬愛する團十郎先輩の復帰を明るく大きく華やかにお祝いできるのは嬉しいことです。猿隈を取るのも久しぶり。朝比奈らしい、愛嬌のある力強さを、明るさとともに表現できればと思っております。
◆「権三と助十」 助十この役を演じるのは5回目になります。音羽屋さんと3回、中村屋と1回勤めております。長屋を舞台にしたミステリー仕立ての喜劇ですが、やる度に何かが起こる芝居で、まじめにやっているのに何かしらのハプニングが起き、舞台も場内も爆笑の渦に包まれてしまう、ということが何回もありました。そのとき元気に大家の役を勤めていた父や、松助さんが他界してしまったことを考えると、楽しい芝居だけに、なにやら言いようのない感慨にとらわれますが、今回、足の手術をされた田之助兄さんがこの芝居で復帰されるのが明るい、嬉しい話題です。
◆「傾城反魂香」 浮世又平この芝居では松緑のおじさんや父の又平で修理之助を勤め、その後雅楽之助も勤めました。又平を初演したのは昭和63年の国立劇場。舞台稽古に松緑のおじさんが来てくださりいろいろご注意をいただいたことは、忘れられぬ思い出です。その後、松竹座、襲名巡業と演じて参りましたが、歌舞伎座で演じるのは初めてになります。他の方もよく演じられる役ですが、松緑、父の舞台を肌で知っている人間として、又平という人間の悩み苦しみの深さ、名前を許された喜びの大きさを、夫婦の情愛とともに、皆様の心にしっかりと届くように大切に演じたいと思います。(今月のスケジュール)
しばらく振りの歌舞伎座出演、待ってました!朝比奈も助十も又平も、どの役も安心して観られます。音羽屋の相棒はイキもあって良いですね。楽しみです。