團菊祭の初日が開きました。去年は團十郎さんの復帰で客席も舞台もみんな喜びに湧いていました。さて今年の團菊祭は十七世羽左衛門さんの七回忌追善で三兄弟、孫総出で「女暫」が追善狂言として選ばれました。
「女暫」:巴御前の萬次郎が大役に挑みます。花道の出は「地味だなぁ」と感じましたが、ツラネはメリハリがきっぱりとしていて、言葉が生き生きと聞こえて良かったです。「このお姉さんなら頼みがいがあるなぁ」という気がしました。歌右衛門、雀右衛門より巴御前という人物に近かったように思います。女の愛嬌も充分あり、三津五郎の楽屋番との絡みも楽しかったです。他に松緑、菊之助はじめ大勢の花形役者さんが花をそえます。中でも海老蔵の成田五郎が出てくると、いっきに「暫」のカラーになってしまいます。この人が今回の「女暫」を盛り上げていたように思います。
「雨の五郎」:松緑は五郎が似合います。歌舞伎座ですから絡みがもう二人加わっても良かったかと思います。私は黒の衣裳のほうが好みですが、白も華やかですね。
「三ツ面子守」:この踊りは坂東流らしい振りで、三津五郎の魅力が堪能できて楽しかったです。引っ込みのきっかけの三味線が間違って早く弾いてしまったのには驚きました。初日のハプニングでしょう。
「め組の喧嘩」:理屈なしで楽しい。菊五郎の辰五郎がカッコイイ、セリフも声もよく、江戸っ子の粋でいなせな鳶頭そのまんまです。四ツ車の團十郎との丁々発止も見ていて楽しい。
最後の立ち回りは劇団の持ち味を活かして、スピード感ありユーモアあり、幕になって「ああ、楽しかった」といい気分で帰れます。出演者もこれは発散できてうれしいでしょうね。