2007年9月28日金曜日

福助きままに語る~緊急報告

緊急報告です。 当初、10月、11月続けて休演させていただくつもりでしたが、松竹から是非!とのお薦めをうけて、11月顔見世公演(歌舞伎座)に出演することになりました。『宮島のだんまり』を出します。 実は今年、成駒屋(三代目歌右衛門)が江戸へ来てちょうど200年になるので、なにか記念のものをやりたかったのです。四代目歌右衛門が考案してちょうど185年前に初演した『宮島のだんまり』を勤めさせていただくことにしました。五代目歌右衛門も福助時代に勤めて、それがまた1887年。120年前なんです。なにか、強い因縁を感じます。(福助 気ままに語る)

福助さんが当初10,11月お休みということでしたが、顔見世に出演されるようです。『宮島のだんまり』は四代目歌右衛門が考案したのですね。



福助さんが加わり顔見世が華やぐことでしょう。





第211回柝の会セミナー のお知らせ

第211回柝の会セミナー  かぶきはともだち



『二十一世紀にまた一つ蘇る歌舞伎、挑戦する役者魂』



    市川段四郎丈を迎えて





2007/10/20(日)   開場4時半  開演5時



会場       国立劇場 伝統芸能情報館3階レクチャー室





第一部  うぐいす塚の解説  石橋健一郎(国立劇場文芸課長)



第二部  対談  市川段四郎     塚田圭一





参加費  3000円





申し込み方法



柝の会事務局へ住所、氏名を書いてファックス03-5565-1560する。



後日、振込用紙チラシか送られる。



11月歌舞伎座顔見世演目と配役

吉例顔見世大歌舞伎(歌舞伎美人 | 吉例顔見世大歌舞伎の演目と配役)



演目と配役が発表になりました。





望月朴清さんご逝去

歌舞伎囃子・小鼓方で望月流宗家の望月朴清(もちづき・ぼくせい、本名:安倍啓仁=あべ・ひろまさ)さんが、9月20日(木)午前8時50分、肝不全のためご逝去されま した。享年73歳。(俳優ニュース)

今月前半に歌舞伎座に行きました時には、お元気で舞台を勤められていらっしゃったのに、突然の訃報にびっくり致しました。



17日まで出られて居られたとの事、芸に生きる人には本望かも知れません。



謹んでご冥福をお祈り申しあげます。



2007年9月25日火曜日

海老蔵の松王丸

寺子屋 松王丸の着付け羽織を作ることが決まりました。 海老蔵さんが着るため写真の羽織より身丈が15センチ、裄(背縫いから袖口まで)を10センチ大きく作ります。(きままに写楽)



雪之丞の衣装を紹介したブログに松王丸の衣装、かさねの衣装も写真が載っていました。



近々、海老蔵の松王丸が見られるということですね。



2007年9月24日月曜日

2008年NHK 正月時代劇「雪之丞変化」

〔1〕2008年NHK 正月時代劇「雪之丞変化」中村菊之丞役  出演決定!!(市川左團次のホームページ)



こんなニュースを見つけました。雪之丞役はさてどなたでしょうか。



〔2〕タッキー、初の2役に NHK正月時代劇「雪之丞変化」(中日スポーツ:タッキー、初の2役に NHK正月時代劇「雪之丞変化」:芸能(CHUNICHI Web))



検索したら出てきました。滝澤くんでした。



三津五郎さんかな、橋之助さんかな、想像は見事に消えました。





〔3〕来年のお正月のNHK時代劇「雪之丞変化」で主演の滝沢秀明さんの衣裳を作りました。(きままに写楽)



しゅうさんのコメントで教えていただきました。華やかな衣装ですね。もう撮影に入っているんですね。



中村京蔵 舞踊の夕べ~ 海人二題

10月27日(土曜)青山銕仙会にて「中村京蔵 舞踊の夕べ」前売り開始!(中村京蔵公式ホームページ)



京蔵さんのページにご案内がありました。



地歌 珠取海女          京蔵





謡曲竹本 志度之浦別珠取   京蔵



 藤間勘十郎振付         高澤祐介



芸術祭参加ということですから、格調高い舞踊だと思います。



「舞の会」 鑑賞講座のご案内

日時 平成19年11月23日(金・祝)、午前11時~正午



場所 国立劇場 伝統芸能情報館 3階 レクチャー室       



内容 「舞の会」出演の井上八千代師をお迎えし、舞の魅力をお話しします。(進行:国立劇  場・織田紘二)



応募方法 往復はがきに住所・氏名・電話番号・希望人数(はがき1枚につき2名様まで)をご記入の上、お申し込みください。締め切りは、10月31日(水)必着です。



宛先 〒102-8656 千代田区隼町4-1 国立劇場「舞の会鑑賞講座」係



抽選結果は11月上旬に返信用はがきでご連絡いたします。(返信用はがきには、郵便番号・住所・氏名をご記入ください)問合せ先国立劇場芸能部第二制作課  電話 03(3265)6342 (「舞の会」 鑑賞講座のご案内 |日本芸術文化振興会)



往復ハガキで応募して抽選にあたったらラッキーですが、最近応募が多いのてしょうかハズレばかり、あきらめずにハガキ出しましょう。



上村以和於の劇評と今月の一押し2007/9

秀山祭の今月は吉右衛門の熊谷に止めを刺すが、熊谷については、『演劇界』11月号に劇評を書いたから詳しくはそちらを見てもらうことにして、一言評にすると、この熊谷において吉右衛門は正真正銘の二代目吉右衛門の熊谷を作り上げた、ということである。もちろん、いままでのだってよかったが、しかしそれは一所懸命、祖父や父に真似び、学んでの、秀才努力派吉右衛門の熊谷だった。しかし今度のは、そういうものとは違う。吉右衛門は、自分自身の熊谷を作ったのだ。『二条城の清正』にしても、清正に先代を、先代に自身を重ね、更には同化しようとする一念が、人の心を打つ。(演劇評論家 上村以和於オフィシャルサイト)

秀山祭と銘打って2年目の今月の歌舞伎座は、やはり吉右衛門が光る。昼夜ともに見応えある舞台で満足度が高いです。



今月の一押しで候補が3つ、甲乙付けがたいようです。つまり、全体的に良い出来ということでしょう。



赤坂大歌舞伎が来年9月に実現

日本の伝統芸能・歌舞伎がついに赤坂に登場。その名も「赤坂大歌舞伎」。伝統の枠組みにとどまらず、コクーン歌舞伎、平成中村座、NY公演と様々なチャレンジをしてきた中村勘三郎が『赤坂ACTシアター』のこけら落しシリーズに名乗りを上げる。劇場まわりには、たくさんの屋台やのぼり、提灯で江戸情緒を演出。21世紀の新しい歌舞伎に挑戦する。(赤坂ACTシアター)

勘三郎が来年9月に赤坂ACTシアターで歌舞伎をやるらしいです。次々と新しい形態の歌舞伎を手がける勘三郎が、どんな趣向を考えているか楽しみです。



この情報はぴかちゅうさんのブログで知ったのですが、かつてここでミュージカルが上演されていた話しなど、書かれていますのでお読み下さい。http://blog.goo.ne.jp/pika1214



2007年9月20日木曜日

三津五郎の逍遙

私は、坪内逍遥……… に見えますかな?



芸大120周年記念公演の『新曲浦島』で、その作者坪内逍遥になりました。(三津五郎の部屋)



芸大の奏楽堂で本邦初演という逍遙作『新曲浦島』の上演がありました。



私もこれは観たいと思って楽しみに行って参りました。東京芸術大学音楽学部邦楽科の長唄、箏曲、能楽、邦楽囃子、日本舞踊、雅楽等の方々が、一丸となって創作したものです。



最終幕では洋楽との合奏、合唱という芸大ならではの演奏でした。



逍遙の楽劇台本「新曲浦島」は全三幕で構成され、全幕にわたって邦楽を指定、洋楽も入れています。和楽、洋楽のコラボレーションを明治(37年)に考えていたのです。



はじめに、この演奏会に三津五郎さんが出られると聞いた時、長唄の「新曲浦島」を踊られるのだと思いました。そしたら逍遙役で出演とのことでした。



序幕と中幕の間に上手より写真の格好で出て来られ、逍遙自身がこの曲を作った背景などを語ったり、現在に逍遙が現れ、奏楽堂が立派になったとか、自分の評価とか、独白するなど面白かったです。三津五郎さんが出ることで、逍遙という人物がクローズアップされ、楽劇全体がまとまった気がしました。三津五郎効果あり・・・カーテンコールでは逍遙が真ん中で出演者がでて来ましたが、日頃不慣れな邦楽人も大和屋のリードに感謝したことでしょう。



追記



最後に上からテープがいくつも降りてきて、タテ型のブラインドのようなもの、初めは白いテープなんですが、くるっと回転すると逍遙の顔が印刷されています。



それが何となく三津五郎さんに似ているような~



それもそのはず、逍遙の顔と三津五郎さんの顔を合わせてコンピューターで作った写真だったのです。



私は、坪内逍遥……… に見えますかな?



このトリックがあった訳ですね。



早稲田演劇博物館 坪内逍遙関連イベント

関連イベント



逍遙作 舞踊劇<長唄 『鉢かづき姫』>



上演 日時:2007年10月10日(水)14:40~17:30 (開場は30分前)



会場:早稲田大学小野梓記念講堂→会場地図



配役:宰相の君・・・藤間蘭黄/姫・・・藤間蘭翔/太郎冠者・・・藤間晃彦/次郎冠者・・・藤間之宏



長唄:杵屋勝四郎ほか囃子:梅屋福太郎ほか



対談 藤間蘭黄×児玉竜一(日本女子大学准教授)



作品解説:濱口久仁子(財団法人 逍遙協会)



※入場無料・事前予約不要(早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館)



「演劇人坪内逍遙」の展示が行われます。その期間中に特別企画で、舞踊劇<長唄 『鉢かづき姫』>が上演されます。藤間流の方々の出演です。大変興味深い舞踊劇であります。



2007年9月19日水曜日

市川猿之助元気な姿見せる

歌舞伎俳優市川猿之助(67)が17日、都内でファンとの交流イベントを行い、約2年5カ月ぶりに元気な姿を見せた。(asahi.com:猿之助2年5カ月ぶりファンに元気な姿 - 日刊スポーツ芸能ニュース - 文化・芸能)

舞台復帰はなかなか実現しなくても、後輩の指導は厳しくしているとの事、彼の理念は生き続けているのです。今後も演出家として活躍されることでしょう。



12月博多座文楽公演

 博多座文楽公演(博多座)



師走の博多座の文楽公演の詳細が発表されました。



演目も、大夫さん、人形遣いさんも素晴らしいメンバーです。博多の皆さんが羨ましくなります。ご覧になりたい方は早めにチケットを取った方が良いと思います。



国立劇場初春歌舞伎公演演目決定

初春歌舞伎公演「通し狂言 小町村芝居正月(こまちむらしばいのしょうがつ(公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|初春歌舞伎公演「通し狂言 小町村芝居正月(こまちむらしばいのしょうがつ」)

来春も菊五郎劇団による復活狂言です。全くどんなお芝居か分かりませんが、春らしい内容のようですね。また変わった趣向で楽しませてくれることでしょう。



2007年9月17日月曜日

吉右衛門の次作は?

名画を描いた人物を演じてみたいという夢もある。国宝「松林図」などで有名な桃山時代の画家、長谷川等伯(とうはく)。画家の姿が目の前に浮かび、シノプシス(あらすじ)を書いてみた。いま脚本家を探している。 「『松林図』には、等伯の気持ちや人生が込められていて、それが伝わってくる。名画家は絵にすべてを託せる。狩野派という巨大な名門に立ち向かった姿がどこか、初代(吉右衛門)に重なる。等伯を演じることで、そこに初代の面影が出せたら」 初代が歌舞伎をどう考えていたのか。どういう演出や演技をしたか。いくら口で言っても伝わらない。等伯の姿を借りた芝居で、一代で名を残した役者を描いてみたい。そう考えている。(【わたしの失敗】「もうちょっと」で絵が台無し 歌舞伎俳優・中村吉右衛門さん(63)(3)|文化|カルチャー|Sankei WEB)

「わたしの失敗」と題して4回シリーズで連載されました。いかにも吉右衛門らしいエピソードがある中で、これは大変興味深いお話です。



なるほど「絵」には作家の思いが盛り込まれていて、観る人の心をとらえます。「秀山祭」として2回目の今月も初代の代表作を演じて、充分二代目として立派に務めて居られるのですが、<等伯の姿を借りた芝居で、一代で名を残した役者を描いてみたい>とまだまだ初代の偉大さを世に残したいという思いがあるようです。



昨夜、富十郎さんのドキュメントを見ましたが、やはり役者は「夢」を持って前進しないといけませんね。



どんな「夢」を実現してくれるか、私たちも大いに楽しみです。





日中合作映画「コードブレイカー507 上海円舞曲」菊之助主演

歌舞伎俳優・尾上菊之助(30)の現代劇初主演となる日中合作映画「コードブレイカー507 上海円舞曲」(林海象監督、08年秋公開)の上海ロケがこのほどクランクアップした。(菊之助、「歌姫・稲森いずみ」救う名探偵…現代劇初主演:芸能:スポーツ報知)

夏休みもお仕事だったようです。上海の街の空気を感じとり、映画の役づくりをするなど、相変わらず研究熱心な菊之助さんです。



2007年9月16日日曜日

三越歌舞伎2007/10澤瀉屋一門による「傾城反魂香」 

今回は猿之助の復活上演後は、めったに掛かったことのない「近江国高嶋館の場」「同館外竹藪(たけやぶ)の場」を加え、お家騒動の背景を描いた。(東京新聞:<歌舞伎>澤瀉屋一門、『三越歌舞伎』に結集 一体感ある舞台で躍動 :伝統芸能(TOKYO Web))

いつもの前の場が上演されます。お家騒動の筋がよく分かりますね。澤瀉屋一門初役の舞台に期待しましょう。



シンポジウム 青山学院9/23日

体制を揺さぶる〈毒〉。それゆえに、文学の発信力を知る権力者は、それを規制しようとしてきた。だが、江戸の表現者たちは、そうした制約をむしろ逆手にとって、一つのことばが二重三重の意味を含意する重層的表現構造を完成させる。 ぬけ、やつし、寓言、諷刺、奇想、さまざまな形で発現するそれは江戸に限ったことではなく、日本の古い時代(秋成『ぬばたまの巻』)や諸外国においても共通の事象でもある。このシンポジウムでは、江戸から中国、英国へと放射状に視野を拡大しながら、そうした方法やレトリックの問題を考え、「堕夫を起たしめる」(石川淳)底の力を秘めた文学の魅力に迫りたい。 それはまた、毒にも薬にもならない文学の氾濫する今への警鐘となることを確信している (青山学院大学文学部 日本文学科)

青山学院大学で「文学という毒」というタイトルでシンボジウムが行われます。



この内の「歌舞伎における悪と毒」という項に市川團十郎さんが出演されます。



かなりユニークな教授達の中で團十郎さんのトークは印象に残ることでしょう。



2007年9月12日水曜日

第1回東京ミッドタウン能狂言

様々なショップやレストラン、ホテル、美術館などの施設が集まる複合都市「東京ミッドタウン」。ここに、東西の能狂言界から魅力的な役者陣による夢の舞台が実現! 第一夜は、狂言界の名家 茂山家と野村家による夢の東西競演!!マルチな才能で多方面で活躍する野村萬斎、そして京都・茂山千五郎一門総出演!! 第二夜は、観世銕之丞家の若き当主・九世観世銕之丞、山本東次郎家の次男、則直親子が登場。能楽界トップクラスの囃子方メンバーによる能囃子の演奏も堪能頂けます。 二日間の公演を通して、東西三家の狂言が集結するのは史上初!!舞台背景にそびえる高層ビルとのコントラストがうつし出す〈夢現の世界〉。ぜひお見逃しなく!!



会場 :東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン 芝生広場 (東京都)



日時:07/9/19(水)~07/9/20(木)



<9/19>茂山正邦/茂山茂/一噌幸弘/曽和尚靖/成田達志/住駒充彦/亀井広忠/茂山千五郎/茂山千三郎/茂山あきら/丸石やすし/松本薫/茂山童司/佐々木千吉/茂山千之丞/野村萬斎/石田幸雄/高野和憲



<9/20>一噌幸弘/大倉源次郎/亀井広忠/金春國和/山本則直/山本泰太郎/山本則孝/観世銕之丞/谷本健吾/長山桂三/宝生欣哉/則久英志/山本順之 ※都合により出演者等の変更がある場合がございます。予めご了承下さい。



曲目・演目:<9/19>大蔵流「三番三」/大蔵流「仁王」/和泉流「蝸牛」   <9/20>能囃子の世界「雪月花」/大蔵流狂言「二人大名」/観世流能「葵上」 .(第1回 東京ミッドタウン能狂言|e+(イープラス))





※まだ20日は空席があるようです。



常磐津協会定期演奏会 チケットプレゼントあり

常磐津協会からの公演のお知らせです。(◇◆◇常磐津協会◇◆◇)



平成19年10月11日(木曜日)午後2時開演(終演7時頃)



※5組10名にチケットがプレゼントされるそうです。9月30日〆切。



小玉祥子の劇評 9月秀山祭

最後が「二條城の清正」。「二條城」では、家康(左團次)一党を相手に気を張った古武士の風情を見せていた吉右衛門の清正が、「御座船」では秀頼(福助)への情愛をまっすぐに見せる。メリハリが利き、清正像が鮮明に浮かび上がった。福助の秀頼はりりしい中にはかなさがある。(MSN-Mainichi INTERACTIVE 歌舞伎)

初代の清正は無論観ていませんが、当代の清正は申し分ないできだと思います。歌舞伎役者としての魅力がいっぱいの舞台で、若手も含めこれからの活躍が楽しみです。



2007年9月11日火曜日

『吉田玉男文楽藝話』発売

国立劇場文楽上演資料集で過去に連載した故吉田玉男師の貴重な藝談を、舞台写真を織り交ぜ、お求めやすい価格で手軽に読める新書判にて刊行しました。森西真弓氏を聞き手に迎え、厳選の名作三十二演目について収録。昭和・平成の文楽史とともに生きた玉男師が自身の藝の秘密を赤裸々に語った珠玉の一冊です。この機会にぜひご一読ください。(『吉田玉男文楽藝話』発売!! |日本芸術文化振興会)

今月の文楽公演中に発売されるようです。お求めやすいお値段ですし、大変興味深い芸談のようです。



渡辺保の劇評2007/9月歌舞伎座

ことに今度の幕外は、最初のドンチャンで右足を引いてキッとなり、二度目のドンチャンではもうキッとならずに心持ちだけで右手へ目をそらして一つ廻って本舞台を向くと思わずたまらなくなるという、その渋い行き方が、心理的でなく、嫌味でなく、それでいて十分大芝居になって堪能させる。大芝居でありながら一方で渋くおさえて、たまらず笠をかぶるまで。十二分に味が出ている。円熟した熊谷。今が見ごろである。(2007年9月歌舞伎座昼の部)

秀山祭の昼の部、夜の部の劇評です。



「熊谷陣屋」は見ごたえありました。正に円熟した熊谷です。口跡良し、嫌味のない演技、大きさも充分で「播磨屋!」と掛けたくなる舞台でした。



夜の部の清正もよさそうです。玉三郎の阿古屋と千秋楽の観劇が楽しみです。



吉田玉男写真展

昭和、平成にわたる文楽界を支え続けてきた 人間国宝・吉田玉男師



真摯な生き方と長年の修行と鍛錬によって培われた 師匠の姿を河原久雄が撮らえた作品群([object])

今月は国立小劇場で吉田玉男氏の追善がありますが、ありし日の玉男氏を偲ぶ写真展が東京、大阪で開催されます。舞台が甦るような、そんな写真に会えることと思います。