今月の一押しということになれば、私には別案がある。『毛谷村』での錦之助の京極内匠である。まさに快打一番。その男ぶり役者ぶり。水の垂れるよう、と昔の人の言ったのはこういうことかと頷かれる。ついこないだまでの、ただのっぺりした信二郎とは大違い、これでこそ、「中村錦之助」である。(上村以和於の随談)
海老蔵の知盛も良いが、錦之助の京極内匠を一押しに。確かに横顔など水もしたたる良い男!ぶりで、襲名を機に上昇中です。
今月の一押しということになれば、私には別案がある。『毛谷村』での錦之助の京極内匠である。まさに快打一番。その男ぶり役者ぶり。水の垂れるよう、と昔の人の言ったのはこういうことかと頷かれる。ついこないだまでの、ただのっぺりした信二郎とは大違い、これでこそ、「中村錦之助」である。(上村以和於の随談)
海老蔵の知盛も良いが、錦之助の京極内匠を一押しに。確かに横顔など水もしたたる良い男!ぶりで、襲名を機に上昇中です。
「青砥稿花紅彩画」 の序幕、初瀬寺花見の場 の信田小太郎(菊五郎)と千寿姫(梅枝)が幕切れに、手に手をとって花道を歩いていくところで、下座の唄が入ります。
聞いたことがある一節でしたが、何の曲か思い出せず、帰りの電車でずっと考えていました。家までバスに乗ったのですが、バスの中で分かったのです。あまりうれしくて、ブログに書いてしまいます。
「小倉の野辺の一本(ひともと)すすき、いつか穂に出て尾花とならば、露が妬まん恋草(こいぐさ)や~」
長唄「傀儡師」の一節です。
いつも適切な曲が選ばれていると思います。下座は楽しいです。耳を傾けて下さい。
七代目三津五郎死後、これだけの「喜撰」はなかった。 まず花道の振りからはじまって、一挙手一投足、一分の隙も無駄な動きもない。きちんと踊って軽く、しかも嫌味がない。(2008年5月歌舞伎座昼の部)
やっと出ました。海老蔵初役の知盛は、まだ課題はあるものの、大きさあり、ニンにあっているので、将来に期待できるでしょう。
三津五郎の「喜撰」は、5月14 日付けの記事(河村常雄の家元探訪ー坂東三津五郎(8))にもかきましたが、渡辺先生ご指摘の通り、<きちんと踊って軽く、しかも嫌味がない>絶品の踊りです。踊り手も楽しく踊っていますし、観客も楽しい、これが歌舞伎舞踊の真髄だと思います。
「歩き方などは言葉だけでは分からない。毎回着物姿で楽器も持ち込み、動きながらやった。ところどころ脱線していたら、時間が足りなくなった」と苦笑する。残りは出版社の社員相手に追加講義を行い、本にまとめた。(好評 団十郎の歌舞伎史観 : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
いろいろお話する内に、つい時間が過ぎてしまう、1日だけの講義を聞いた時もそうでした。前もって準備していらしゃるのにうまく収まらない、團十郎さんらしいと思いました。
この本は、いかにも團十郎さんらしい切り口で面白く、あっと言う間に読んでしまいました。
この記事で取り上げられたお話はもちろんですが、その他でも、「助六」のセリフでよく聞く「だれだと思う、つがもねえ」のつがもねえの意味ですとか、これからの歌舞伎のあり方についてのご意見だとか、パリのオペラ座の秘話も興味深いです。
もう一つ、父十一代目との思い出や貴重な写真も沢山載っております。
読み終わりますと、益々團十郎さんが好きになります。是非まだの方はお買い求め下さい。
日時 平成20年6月28日(土)午後2時開演 (4時終了予定)
会場 国立劇場伝統芸能情報館 3階レクチャー室
定員 先着100名 入場無料
※開演1時間前からレクチャー室前にて入場整理券をお配りいたします。 (第9回伝統芸能サロン 三遊亭円朝とその時代|日本芸術文化振興会)
円朝は歌舞伎にも大きな影響を与えた人です。興味深いお話が聞けると思います。
掛け合い噺「すずめ二人曾」(7月4日)(舞台予定:京屋一門の舞台 | 中村芝雀 七世 Offical web site)
大変面白い企画です。昨年の豊志賀が本当に良かったので今回も期待です。谷中の全生庵という誠に怪談噺にはおあつらい向きの場所ですから、怖さも倍増です。
夜の部は「東海道四谷怪談」の通し。吉右衛門が冷酷無比な悪党伊右衛門を描線太く表す。色悪というより実悪の感覚で、随所に台詞の巧さも生き、吉右衛門ならではの役作り。対する福助も迫力ある演技。久しぶりに怖いお岩、恐ろしい「四谷怪談」である。蚊帳の中から聞こえるお岩の泣き声、うめき声が、場内を凍て付かせる。福助の積極的で過剰な演技が、この役では効果的に働いた。芝雀のお袖、段四郎の直助、染五郎の与茂七。26日まで。(近藤瑞男=共立女子大学教授・演劇評論家)(東京新聞:<評>新橋演舞場『四谷怪談』 迫真の福助に場内凍る:伝統芸能(TOKYO Web))
色悪というより実悪の伊右衛門というご意見です。福助の積極的で過剰な演技が効果的とおっしゃっています。
すでに見に行かれた方の感想を聞くと福助の後半の演技には問題あり?とか。私は来週見ますのでどう感じますか?大成駒のお岩様が忘れられませんね。
吉右衛門の「一本刀」はすでに何度も見たものであって悪かろうはずはないが、今度はことさらサラサラとして淡泊。力まず、衒わず、嫌味なく、余裕のある出来である。それでいてするところは突っ込んでいる。たとえば序幕第二場の利根川の渡し、幕切れの空を見た顔が、実に屈託のない明るさ、素直さで、印象深い。大詰もお蔦親子を見送ってジッとなるところがうまいが、さらにそのあと荷物をとって、桜の樹の下で腕組みをして向こうを見る姿が、自然でありながらおのずから絵になっている。この兼ね合いがさすがにうまいものである。 芝雀のお蔦は、これも自然に素直に運ぶ芝居が吉右衛門に合っている。船印彫師辰三郎は錦之助。波一里儀十が歌六。船戸の弥八が歌昇、染五郎の掘下げの根吉。なかでは歌昇の弥八が出色の出来である。(2008年5月新橋演舞場)
渡辺先生の批評がずっとでなくて、どうかなさったのかと心配して居りましたが、体調を崩されたとか~お大事になさって下さい。
さて、夜の「四谷怪談」が気になりますが、昼の吉右衛門の「一本刀」が安心して見られる演目のようです。
踊りというのは果てしない山道を登っているようなものです。平成9年、今から11年前に、『奴道成寺』を歌舞伎座で踊ったとき、初めて心の底から楽しいなと思えた。40歳を超えていましたよ。それまでは、ちゃんと出来ているだろうか、きちっと踊っているだろうかと、もう1人の自分がチェックしていたのです。しかしこのとき初めて、料理でいえば、この鯛を焼こうか、煮ようか、調味料はどうしようか、自分の塩梅で決められるようになった。そこまで行くには40年近くかかった。それからですね、踊りが本当に楽しくなったのは。それまでは嫌いではなかったけれど、どこか解放されていなかったわけです」(<河村常雄の家元探訪>坂東 三津五郎(8) : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
最近の三津五郎さんの踊りを見ると、身体の動きからその楽しさが伝わってきます。去年の10月歌舞伎座の「奴道成寺」は襲名の時と比べて、踊り手自身が楽しんで踊っていて、その楽しさを観客に伝えている感じがしました。セリフや演技で表現できても、身体で表現できなければ歌舞伎役者とは言えないと思います。三津五郎さんはその点でも確かな歌舞伎役者といえるでしょう。
映画『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』5月21日より公開尾上菊之助が声優に初挑戦した映画『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』が、5月21日(水)より全国で公開されます。
また東京の映画館「丸の内ピカデリー1」では、公開初日の初回放映(午前9時~)終了後に菊之助らが出演する舞台挨拶が行われる予定です。(俳優ニュース)
菊之助さんが声優に初挑戦!声が良い菊之助さんですから、それに王子役ならうってつけです。21日の初回を見られるとお得です。
6月恒例船乗り込みの詳細が決定いたしました。いまや博多に初夏の風物詩となりました「船乗り込み」今年も6月博多座大歌舞伎公演に出演する豪華俳優たちがキャナルシティ博多横・清流公園から博多リバレインまで博多川をにぎやかに下ります。(博多座)
5月29日に行われます。詳細は画面でお確かめ下さい。
演出家としては、蜷川と異なる個性の持ち主だと自身を評する。「蜷川さんが堕(お)ちてゆく英雄の悲劇が好きなのに対し、狂言出身の僕は、どこかずっこけたアンチヒーローがヒーローになるような喜劇が好き」 (asahi.com:野村萬斎、蜷川演出舞台で老武将熱演 - 演劇 - 文化・芸能)
現代劇の時代物、個性が織り成す舞台、面白そうです。私事ですが、歌舞伎以外はまったく興味のない私が、これなら大丈夫かなと見に行くことにしました。食わず嫌いが食べてみてどう感じるか、自分でも楽しみです。
六世尾上梅幸展ー 近代の名女形ー
日時 2008年6月4日(水) 15:30~17:00
会場 早稲田大学大隈記念タワー(26号館)地下1階多目的講義室
演劇講座 講師:秋山勝彦(「演劇界」元編集長)、
横道萬里雄(東京藝術大学名誉教授・東京文化財研究所名誉研究員) (早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館 | イベント案内)
歌舞伎座にチラシがありました。開催にあたっての文を抜粋してご紹介します。
<梅幸は生前、開館間もない演劇博物館に衣裳や小道具、書画を寄贈しています。博識の梅幸は衣裳や小道具などをこまめに記録していた上、舞台映えする衣裳選定に優れた感覚を発揮し、また書抜きもほぼすべてが現在まで残されました。演劇博物館では梅幸が亡くなった直後、追悼展が開催されましたが、今回はそれ以来七十四年ぶり、初めての大規模な企画展です。>
六世尾上梅幸は五代目菊五郎の養子で、養父没後帝劇で長く活躍していました。もちろん舞台は見ていませんが、著書に残されたかなり専門的な芸談などを読みますと、名女形だったことが分かります。
「船弁慶」静の衣裳、十六夜や三千歳の写真、「土蜘」の僧 智ちゅうの写真がチラシに載っています。
5月17日~6月15日まで入館無料ですから、是非お運び頂きたいと思います。
七月大歌舞伎(歌舞伎美人 | 七月大歌舞伎の演目と配役)
玉三郎と海老蔵による公演で、昼の部は海老蔵の忠信・玉三郎の静で「義経千本桜」。夜の部は再び鏡花。
海老蔵は今月知盛を演じていますから、近い将来に権太に挑戦すると思います。30代は飛躍の時、ますます目が離せませんね。
「喜撰」 >なお今回は、「釈迦牟尼佛」の鉦のくだりを、東京では初めて上演します。<
よく注意してみませんと、テンポのいいところですからあっという間に過ぎてしまいます。家の芸として大事に踊り続けていく「喜撰」の今回の出来を、しっかり覚えておきたいです。
「極付幡随長兵衛」 >子分の中でもちょっと毛色の変わったひょうきんな「出っ尻清兵衛」という役を置くことによって、前半の芝居を明るく軽快に運び、それがあるために後半の悲劇がより生きてくるという、作者黙阿弥の作劇の妙を感じました。<
軽いお役でも全体の中で重要な役割を果たしているのですね。濃淡、対比・・・で劇がぐっと生きてくる、納得できます。
「青砥稿花紅画」>このところ序幕の忠信利平を、着流し姿で演じられることが多かったのですが、今回は、袴姿の信田小太郎と間違えられるのですから、無地の着附に野袴、野羽織という扮装に戻しました。いずれにしても武家あがりの浪人者の、渋い男のかっこよさを追求して、ダンディなつくりにしたいと思っております。<
手慣れたお芝居でもきちんと考えて、衣裳を変えるという姿勢に好感もてます。忠信利平は渋くてダンディ?な浪人ということになりますね。
三津五郎さんの役づくりの確かさを感じます。