仁左衛門は前半、小万を見ると心浮き立つ源五兵衛の愛情深さをおおらかに見せており、それが後の惨劇を一層際立たせる。打ち落とした小万の首を懐に抱く源五兵衛は、ぞくっとさせる凄絶(せいぜつ)な美しさだ。(舞台評:七月大歌舞伎 あふれる殺しの美学 - 毎日新聞)