初役で大蔵卿に挑んだ菊之助は、同役を得意とする実父(尾上菊五郎)と岳父(中村吉右衛門)の公演でお京と鬼次郎を複数回経験した解釈が生き、大仰な阿呆ぶりを控えた力まぬ作りでいい。弛みの中にも緊張と気品が貼り付く。今回は、岳父が監修者として名を連ね、吉右衛門型を踏襲。「檜垣茶屋」も緩み過ぎず、「奥殿」での本性発露もきっちり納得させる。(【鑑賞眼】国立劇場歌舞伎鑑賞教室 鬼一法眼三略巻の四段目「一條大蔵譚」 尾上菊之助、弛みの中に緊張と気品 - 産経ニュース)坂東亀蔵解説の「歌舞伎のみかた」はよどみなく運び、なかなか良かった。特に今回黒御簾を外して見せてくれたのは大変面白かったです。これは今回初めての試みとか。