183センチの長身、がっしりとした体躯。坂東彌十郎さんは、主役を支える重厚な脇役として、評価が年々高まっている、存在感ある歌舞伎俳優だ。決して平坦ではなかったこれまでの道、そして今後の夢などを伺った。(第14回 坂東彌十郎(歌舞伎俳優) 脇役に人生あり。与えられたお役に真摯に向かい、より高みを目指す|大人未来 オトナが語る大人未来のメディアサイト)
「猿翁さんには、たくさんのことを教えていただきました。とりわけ心に残っているのは『我々は、人様に感動を与えなければいけない仕事だ。自分たちが感動できなければ人様を感動させることなんてできないよ。だから人の10倍も100倍も感動しなさい。きれいな景色を見て、おいしい物を食べて、自分の感性を磨きなさい』と言われたことでしょうか」
猿翁のもとを離れ、独りで何も出来ずにいたときに声をかけてくれたのは、十八代目中村勘三郎であった。勘三郎は、彌十郎さんの一つ年上で、子どものときからくっついて遊んでいた仲。勘三郎に「いっしょにやろうや」と声をかけられ、平成中村座に参加。さらに再び海外に行くチャンスを得る。
「既存の劇場でいいから内装をかえて、回り舞台、花道、セリをつけて。歌舞伎は年に1回くらいしかできないでしょうけれど、そこのスペースを使ってオペラをやってもいい。ストレートプレイを入れてもいい。新しいものができると思うんです。僕の中ではそれをユーロ歌舞伎と名づけています。パリが一番歌舞伎文化と合うんじゃないかな」
若い時にお父様を亡くされ大変ご苦労なさったようですが、猿翁さん、勘三郎さん、三津五郎さん等に支えられ独自の芸を築いてこられ、今はどんなお役でも存在感あり舞台を引っ張って居られます。又ユーロ歌舞伎も夢で終わらないように実現して頂きたいです。