2017年7月8日土曜日

中川右介「駄右衛門花御所異聞」評

海老蔵が試みたのは、それとは逆のアプローチで、映像も含めた現代の最新舞台技術を使って、昔ながらの歌舞伎を再構築する。現代の作家が現代の感覚で書く新作の方が現代人には面白いはずだが、それと歌舞伎らしさの両立は難しく、実験作で終わることが多い。海老蔵もそういう試みを重ねてきたが、今月は、歌舞伎座のレパートリーとして今後も残るものを目指している。  それは成功し、久しぶりに歌舞伎らしい歌舞伎を見た気分になった。
勸玄君の登場は2幕目のラスト。初日に見たが、花道をちょこちょこと走りながら出てくるだけで、新しい歌舞伎座始まって以来かと思う盛大な拍手。その後、海老蔵に抱きかかえられての宙乗りは、演劇というより宗教儀式めいていた。そこに、ワイドショーが報じる涙の美談はなく、祝祭だった。(親子共演 勸玄君の宙乗りは涙の美談はなく「祝祭」だった - エキサイトニュース(2/2))
今までの新作とは違う切り口で古典を再構築して、歌舞伎らしい演出で試みたのは成功といえると書いています。これは再演を重ねて生き残る作品になると思います。