中車の半太郎が、また、すぐれている。歌舞伎のなかでの居場所が次第に定まってきたが、慢心が見えない。
猿之助、勘九郞は、踊りの巧さに溺れず、風俗を写す役者の踊りに徹している。
岡本綺堂の『修禅寺物語』(市川猿翁監修)。初世坂東好太郎、二世板東吉弥の十三回忌。兄と父の追善を出せる役者となって、彌十郎渾身の舞台となった。(長谷部浩の劇評 TheaterGoer Directory)