屋敷を出奔した玉手が闇にまぎれて両親の庵室(あんしつ)をたずねる場面に注目。門口にたたずみ、かぼそい声で「かかさん、ここ開けて」と頼みます。屋敷風の黒い衣装で、中村歌右衛門系では人目をはばかるため、ちぎった片袖を頭巾にした姿。白い顔が闇に浮かび上がり、独特の美しさです。(東京新聞:<新かぶき彩時記>「摂州合邦辻」の玉手 頭巾姿の美と神秘:伝統芸能(TOKYO Web))何ともステキな演出、濃い紫の地色の着物の片袖をちぎって頭巾にして被り花道から出てきます。玉手は十九や二十歳(つずやはたち)と言ってますから若い女です。