序幕「村山座」で客席から腰を低くして舞台に上がる様から、侠客の貫禄が漂う。二幕「長兵衛内」の子別れはいささか弱いが、三幕「水野邸」では大旗本に一歩も引けを取らない男の意地、気概、正義感で見る者を魅了する。当代一の長兵衛。(河村常雄の新劇場見聞録)