2017年9月15日金曜日

矢内賢二の劇評 2017年9月 歌舞伎座

昼の部「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」の吉右衛門が素晴らしい。緩急自在のしみ通るようなせりふで、「たかが町人風情」の自分の死に場所を見定めた男の覚悟を浮き彫りにする。その覚悟をあくまでも静かに受け止める中村魁春(かいしゅん)の女房お時も感動的。中村又五郎が劇中劇の坂田公平と出尻清兵衛で好演を見せ、中村錦之助の近藤登之助に悪が利いていい。中村歌六の唐犬権兵衛、市川染五郎の水野十郎左衛門。(東京新聞:<評>吉右衛門、緩急自在 歌舞伎座「秀山祭大歌舞伎」:伝統芸能(TOKYO Web))