同じく夜が序幕の「逆櫓(さかろ)」。松右衛門には船頭らしい闊達(かったつ)さがあり、「頭が高い」で樋口次郎の正体を現した途端に姿が大きくなったように見えるのは芸の力。最後の樋口の名乗りは朗々とし、周囲を圧する存在感を見せる。(歌舞伎:秀山祭九月大歌舞伎 見応えのある10回目=評・小玉祥子 - 毎日新聞)