2017年11月17日金曜日

<新かぶき彩時記>そばの食べ方に生活感 世話物「雪暮夜入谷畦道」

「世話物」というジャンルの作品で、江戸庶民の写実的な生活感がキモ。年配のそば屋夫婦のやりとりや、かつお節をかくなど何げない演技にも風情があります。燗(かん)酒を飲もうとした直次郎が、ちょこに浮くゴミに気づき、ヒョイとはしでのけたり、三千歳に手紙を書こうと乾いた筆の穂先をなめると先が抜け、仕方なく楊枝(ようじ)で書くなど、細かい芝居運びにこなれた味わいが。常に追手を気にして周囲をはばかり、さりげなく手ぬぐいで顔をかくすなど、声を出さず用心する姿にも、ワケあり感がにじみ出ます。(東京新聞:<新かぶき彩時記>そばの食べ方に生活感 世話物「雪暮夜入谷畦道」:伝統芸能(TOKYO Web))
黙阿弥の大江戸への郷愁がタップリ描かれます。こんな風に暮らしていたのだなと当代菊五郎がさらっと見せてくれます。