2018年3月16日金曜日

河村常雄の劇評 2018年3月 国立劇場

花形2人がお家芸に挑戦する。芸を継承させる意義ある公演だ。
後半の「梅雨小袖昔八丈」は五代目菊五郎以来、代々演じている髪結新三を七代目の息子・菊之助が挑む。清新な役者だけに、まだ悪党は難しいかなと思っていたが、序幕「永代橋」で、だました忠七に言いがかりをつける最初の台詞からしっかり悪を感じさせる。この後、勢いに乗り、老侠客・弥太五郎源七を撃退する件、老獪な家主・長兵衛にやりこめられる件まで一気に見せた。軽快な小悪党。継承成功である。(河村常雄の新劇場見聞録)
国立劇場ならではの2作。こういう企画を今後も期待します。