2018年3月14日水曜日

小玉祥子の劇評 2018年3月 歌舞伎座

夜の最初が「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」の「莨屋(たばこや)」「油屋」。鬼門の喜兵衛(仁左衛門)と土手のお六(玉三郎)の場面に絞っての上演で、すごみと色気がある喜兵衛と歯切れ良く伝法なお六である。薄汚れた「莨屋」で早桶(はやおけ)や死人を用いるグロテスクさが2人の美を際立たせ、別世界が現出する。「油屋」のゆすりは、2人の息が合ってテンポが出た。橘三郎の久作が好演。(歌舞伎:三月大歌舞伎 美、際立つ「莨屋」=評・小玉祥子 - 毎日新聞)