菊五郎の時代と世話を使い分けた緩急自在なセリフ術が見事。女装して乗り込んだのが男と見破られ、「肝はふてえや」と居直ってすごむところなど、小悪党ぶりが小気味よく、左團次の南郷との息も合い、最期を遂げる「極楽寺屋根立腹(立ったままでの切腹)」までを運びよく見せる。
「鳴神」は海老蔵の鳴神上人が前半で堂々とした風情を出し、菊之助の雲の絶間姫の色香に迷っての堕落ぶりとの差異を際立たせた。菊之助は、単身、山奥に乗り込んできた芯の強さを感じさせる造形で、あでやかさもある。(歌舞伎:團菊祭五月大歌舞伎 菊五郎 小悪党小気味よく=評・小玉祥子 - 毎日新聞)鳴神は團十郎の上人を思い出します。品格、愛嬌、隈取が良く似合う顔・・・海老蔵の鳴神上人は良い追善になります。