2018年6月10日日曜日

河村常雄の劇評 2018年6月 歌舞伎座

今月最後の「巷談宵宮雨」は意外な拾い物。芝翫の破戒坊主の龍達、松緑の龍達を殺し金を奪う甥の太十、雀右衛門の龍達の亡霊に悩まされる太十女房おいち。3人がうまくかみ合い怪談噺を盛り上げる。特に、芝翫が強欲でだらしのない悪党をうまく演じている。橘太郎も鼠取薬売勝蔵で不思議な味を出した。(河村常雄の新劇場見聞録)
日本の夏の蒸し暑い季節感と、登場人物の欲とか悪とかが絡む怪談噺で面白い。芝翫の龍達・松緑の 太十・雀右衛門のおいちに加え脇陣も良く、久々に宇野信夫の世界を堪能しました。