吉右衛門の団七が長町裏で、橘三郎の舅(しゅうと)義平次を殺害する場は、総身の彫り物が宵闇に映えて、ぞっとするほど美しい。それより美しいのは、誠実な男が義理のため舅を手に掛ける悲しみの深さ。((評・舞台)歌舞伎座「六月大歌舞伎」 不条理な時間、鮮烈:朝日新聞デジタル)