2018年6月20日水曜日

上村以和於の劇評 2018年6月

巨匠黙阿弥の作ながら、『野晒悟助』は決して、世に言われる「名作」ではないかもしれないが、これほど、黙阿弥らしい趣向に満ちた味な作もあるまいかと思われる、愛すべく捨てがたい佳品である。今回の菊五郎所演には、こうしたさまざまな意味合いや思いが汲み取れる。
昼の部に於ける菊五郎、夜の部に於ける吉右衛門、それぞれに、犠牲的精神をふりしぼっても目の玉の黒いところを見せて睨みを利かせたわけで、各役各優それぞれに、それぞれの伸長ぶりを見せたのがその成果ということになる。(演劇評論家 上村以和於公式サイト | 歌舞伎の評論でお馴染みの上村以和於です。)
官女がダブルのも、住吉神社が舞台なのも、家業が早桶屋なのも、不思議とつながっている、私も妙な気がしました。
渋谷の海老様こと権十郎から菊五郎は随分教わっています。黒手組の助六や今回の野晒悟助もそうです。こういう狂言を残していってほしいです。次の世代に受け継がれるようお願いしたいです。
橘太郎の薬売り、義平次より好きです。宇野信夫のお芝居にはよく登場する人物です。