2019年2月7日木曜日

渡辺保の劇評 2019年2月 歌舞伎座

幕切れの幕外になった時の、「十六年は一昔」から思い入れの後に笠をかぶる まで。吉右衛門はそういう力強さを、熊谷という人間の、その表現としての型 を生きて来た役者の、人生の瞬間であった。今日私の目の前で熊谷は、吉右衛 門はその人生を渾身の力で生き切った。一期一会という想いがする。(2019年2月歌舞伎座)