2019年5月13日月曜日

長谷部浩の劇評 2019年5月 歌舞伎座

海老蔵の弁慶による『勧進帳』。富樫は松緑、義経は菊之助。平成十一年一月浅草公会堂でどぎもを抜かれた舞台と同じ配役である。あれから二十年。だれもが変わり、だれもが大きくなり、だれもが大人になった。 なかでも暴力的なまでの圧力で舞台を支配した海老蔵が進境を示している。團十郎としての責務がすでに感じられているのだろう。三津五郎の弁慶と富樫で対したときの緊迫感を週目の弁慶には期待したい。 松緑の富樫には実がある。菊之助の義経は、この役はいじったりせず、品位を押し通せばよいのだとよくわかる。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)
襲名の弁慶はどう進歩するのでしょうか、成田屋の長としての弁慶を期待します。