2019年5月17日金曜日

中川右介の劇評 2019年5月 歌舞伎座

平成最初の襲名は1990(平成2)年5月の團菊祭での尾上松助と松也(当時5歳)父子だった。松助は新派役者の子で、二代目松緑の弟子となり歌舞伎界に入ったが、脇役専門だった。襲名披露公演では、普段は主役クラスが演じる御所五郎蔵をつとめられたが、2005年に若くして亡くなったので、最初で最後となった。その役を、松也は襲名でもないのに、つとめている。しかも松助が出た時は「五條坂仲ノ町」の場だけだったが、今回は「奥座敷」「廓内夜更」までを通した。いかに松也が「異例の出世」をしたかが分かる。御曹司でもなく、脇役出身なのに、本人の力でここまできたのだ。
松也は自主公演「挑む」を10回開催してきました。歌舞伎座で主役がはれる役者になりたいという強い信念のもと精進してきました。今月の團菊祭で実現しました。心からオメデトウと祝福したいです。
海老蔵最後の弁慶、丑之助初舞台、菊之助初の娘道成寺、松也大出世と、時代の変わり目を象徴する興行となっている。(海老蔵ラスト弁慶、松也大出世…令和元年に相応しい團菊祭 (2019年5月16日) - エキサイトニュース(2/2))
私の一年の内で一番楽しみな團菊祭、今回は令和元年の記念すべき公演として忘れられない舞台になります。