2020年8月9日日曜日

渡辺保の劇評 2020年8月 3部・4部 歌舞伎座

 もつともこ の与三郎には、鋭く、殺気立った凄味はない。その代わりにいいのは、もとは 江戸元山町の鼈甲問屋伊豆屋の惣領息子という人品の良さ、大家に育った優し さである。最近は滅多に出ないが七幕目の元山町伊豆屋の表、深夜に与三郎が 父親に会いに来る場面を思わずも思ってしまった。あの場をこの幸四郎の与三 郎で是非見たいと思ったからである。(2020年8月歌舞伎座)

次回はこの場を上演してほしいですね。