かつての女形たちは、晩年になって皺だらけになっても、芸の円熟によって美 しく見えた。現実の美しさとは違う美しさを見せたのである。ところが玉三郎 にはそういう美しさがない。あくまで映像の昔日の美しさと今の目前の美しさ が同じ次元で並べられている。だからさすがに色褪せて見えるのだろう。 あの前半の「将門」や「阿古屋」の打ち掛け一枚で映像よりもナマの方がきれ いに見えるという芸の奇蹟が、ここにはなかった。(2020年9月歌舞伎座2)
玉三郎は特別です。今までの女形とは違います。歌舞伎の女形とはどうあるべきか、今後の課題ですね。