今回はその動き、一歩踏み出す足と、それを一度引込めて右膝を立て、左足を延ばして左手を大きく前に出して中腰のツケ入りの見得まで、さながら怒涛の寄せる如く、タッチの太さ、動きの大きさ、グロテスクさ、まことに見ていて爽快かつコクがあっていい出来である。芝翫大進歩。この人の当たり芸になった。(2021年4月歌舞伎座 – 渡辺保の歌舞伎劇評)