次は舞踊「夕顔棚」は、菊五郎の婆、左團次の爺が、初演の初代猿翁の婆が乳房を見せるエログロと違って、乳房を見せてもアッサリと品がいい。舞踊としては大した手が付いているわけではないが、左團次と二人品格を保って後味がいい。里の男は巳之助、女は米吉。菊五郎版では初演と違って大勢の里の男女が出て、踊りながら花道を入って行くが、これだけ並んでいる中で巳之助の手振りの面白さが抜群。(2021年6月歌舞伎座 第一部 – 渡辺保の歌舞伎劇評)