2021年6月7日月曜日

渡辺保の劇評 2021年6月 国立劇場

 二代目松緑の孫の現松緑は、その難しい方の、すなわち祖父の、明るくって、能天気な、さっぱりした江戸っ子にポイントを置く方に挑戦して、七分通り成功した。決して完全とはいわない。むろん芸としてはこれからだし、未完成でもある。しかし敢えて難しい方に立ってここまで来たのは、成功といわなければならない。(2021年6月国立劇場 – 渡辺保の歌舞伎劇評)